【為替】2020年4月~6月:豪ドル勝ち、コロナ抑え込みと関係?
4月~6月の3ヶ月はコロナ禍の中でのマーケットでした。経済活動も再稼働する兆しが見える中、1月上旬に話題になったホルムズ海峡が懐かしく思えるほど、新規感染者数を毎日気にする日々です。そういった毎日の中、4月~6月は豪ドル・NZドルBUY&HOLDは顕著なリターンを上げました。この背景として、オーストラリア・ニュージーランドは比較的早期にコロナ対策が功を奏したことが影響したのではないか?という見方もできます。
リスク・リターンのプロット等を用いて視覚化しますが、視覚化にあたって、無料でヒストリカルデータをダウンロードできるDUKASCOPYから取得する為替の日次データを基に為替のリスクリターンを簡便的に検証しました。その際、外為情報ナビにて公開されている政策金利を基に、日本と相手通貨の政策金利差をスワップポイントとみなして、スワップポイント考慮後の為替のリスクリターンを簡便的に検証しました。
目次
2020年4月~6月の総括:豪ドル、NZドルが勝ち、米ドル、ポンドは負け
2020年1月1日時点を100として指数化したグラフは以下のとおりです。年初のホルムズ海峡の緊張がかわいく見えるくらい1月後半から徐々に始まったコロナ禍によってジェットコースターのようなマーケットです。特に3月は年初に比べて南アランドやトルコリラは25%も円高に進んだものの6月に向けて緩やかに円安に進んでいます。
4月から6月に絞って見てみると、スワップポイントを考慮に入れない場合、ロングポジションのリターン(年率)がプラスの通貨はユーロ、豪ドル、NZドル、南アランド、メキシコリラでした。特に、豪ドル、NZドル、トルコリラは同水準のリスク(12%~15%)ですが、豪ドルのリターンが最も大きいです。(68%)実際、豪ドルをウォッチしている方は、65円から74円へ円安が進んでいたことを記憶に新しいかと思います。
政策金利をスワップポイントとみなして、年率換算後リスクリターンのグラフ化を試みました。トルコリラの政策金利は2020年6月時点において8.35%であり、他の通貨の政策金利よりも相対的に大きい水準にありますので、スワップポイントを考慮しない場合、トルコリラのリターンはマイナスでしたが、スワップポイントを考慮すると豪ドルに近いリターンまで調整されることがわかります。なお、米ドルとポンドは、スワップポイントを考慮しても、引き続き、沈没(マイナス圏)の状況です。
為替ポートフォリオ戦略取るなら、豪ドルを加えるのも一案
長期で捉えた場合、豪ドルと各国通貨の為替変動の相関は低い傾向にあります。2010年5月から2020年6月までの期間を見てみると、豪ドルの相関係数は他通貨と比較しても低い傾向にあり、緑色で表示されます。長期的に見て、豪ドルは他通貨に対して相関がない(弱い)という前提に立つと、例えば、米ドルを買いつつ、豪ドルも買うことで、同じロングポジションでありながら、米ドル安の際にその影響を緩和できるのではないかと考えられます。為替ポートフォリオ戦略を考える際に豪ドルを保有するということも一案としてありえます。
対象期間:2010年5月9日~2020年6月30日
一方、短期で見てみると2020年1月~3月においては、ほぼすべての通貨ペアにおいて強い相関が見られますので、日本円を基に考えた場合、ある通貨を買ったら、別の通貨を売らないと為替ポートフォリオ戦略が機能しません。ロングとショートを織り交ぜて、日々トレードをするスタイルの方にとって相当の胆力が求められると思います。
対象期間:2020年1月1日~3月31日
一方、4月~6月においては、米ドルが他通貨と比較して相関が弱くなっています。他通貨が引き続き荒れている中において、比較的、米ドルは動かなかった(リスクが低かった)からかもしれません。
対象期間:2020年4月1日~6月30日
経済合理性のある投資は、やっぱり米ドル
2008年1月1日を100として指数化したグラフ(トルコリラについては、DUKASCOPYからデータを取得できる2010年5月9日を100としています)は以下のとおりです。2008年1月1日と比較して、2020年6月30日の為替水準が100を超えている通貨はありません。(ドルは98.04でした)トルコリラについては、2010年5月9日と比較して、約75%も円高に進んでいます。(1トルコリラ=60円が15円にまで円高に進んでいます)
DUKASCOPYからトルコリラの為替データを取得できる2010年5月9日から2020年6月30日までを対象に、年率換算後、スワップポイント調整後リスクリターンをグラフにしました。トルコリラはリスクが高い(17%)割に、リターンは2.16%程度です。一方、米ドルはリスクが9%程度である一方で、リターンは2.19%程度です。リターンが同程度(0.03%の差)にも関わらず2倍のリスクを取るというのは賢明とは言えないと思います。長期保有をするならば、以下の図を踏まえると、トルコリラと米ドルどちらかを選ぶとしたら米ドルを選択することが合理的な選択と言えます。