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【UCITS】欧州在住投資家必読。米国ETF対応のUCITS ETF早見表

2021/09/08
 

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40代の読書家 兼 エコノミスト。 普段、マネーに世界中をさせています。ブログでは、おカネ(投資)とホン(書評)とタビ(旅行)についてまとめていきたいと思います。「いいね」を押してくださったり、ツイートしてくださると励みになります。 よろしくお願いします。

海外で生活していると、日本とは違う現地のルールがあったりします。中には、普段気が付かないルールもあるかと思いますが、日本で資産形成・投資の経験があって、欧州でも資産形成・投資を始めようかなと思っている人にとっては初めて気づくことがあります。

それは、欧州の証券会社からを通じて米国籍ETFに投資できません。米国籍ETFとは、簡単に言うと、VTIやQQQといった米国ETFのことです。楽天証券やSBI証券、マネックスといったオンライン証券会社から日本株と同じような感覚で米国株・米国ETFに投資していたとしても、欧州では、欧州の証券会社を通じて米国籍ETFに投資できません。UCITSというルールがあるからです。

欧州の規制:UCITS

UCITSとは、Undertakings for Collective Investment in Transferable Securitiesの略称であり、日本語訳は、「譲渡可能証券の集団投資事業」です。ざっくり言うと、EUの法律に従って設立・運用されているファンドのことを指します。UCITS 指令の加盟国で認可(承認)を受ければ、他の加盟国において改めて認可を受けなくても、そのファンドの販売が可能となる制度です。

1ヵ国当たりの面積が小さいものの、30弱の国から構成される欧州において、国によって制度が異なるため、UCITS指令がなければ、ファンドを販売したければ、それぞれの国でお役所届・手続きといった煩雑な事務手続きをしなければなりません。その点において、UCITSは販売会社・運用会社において事務コストを下げる制度とも言えます。

とはいえ、UCITSに対応するようにお作法には従わないとならない、という点を踏まえるとコストがかかります。

具体的には、消費者保護を目的としたEUの投資規制であるPRIIPs(Packaged Retail Investment and Insurance Products)への対応が求められます。PRIIPsは、ファンドプロバイダー(ETFを含む)に対して、投資家がさまざまな投資商品のリスク、報酬、コストを比較できるようにするための重要情報文書(KID)の作成を義務付けています。

KIDの例として、iShares Core S&P500 UCITS ETFのKIDをこちらから見てみてください。別の運用会社(バンガード)のETF(Vanguard FTSE All-World UCITS ETF)のKIDと見比べてほしいのですが、書式、記載項目は、同じです。

2ページで、以下の内容がまとまっています。

  • Objectives and investment policy
  • Risk and Reward Profile(7段階)
  • Charges
  • Past Performance
  • Practical Information

投資家保護、投資家が比較しやすいように、関連文書を整備する必要がUCITS ETFには義務付けられています。

面倒だから欧州の規制に対応しない米国籍ETF

UCITS。私がざっくりと理解した限りを簡単にまとめると、欧州で商売したかったら、欧州の規制(ルール)に従いなさいということ。既に米国を始め多くの国で売買可能な米国籍ETFは、後から出てきた欧州がなんか言ってらぁ、欧州市場は規模が小さいし、無視しよ、という対応を決め込んだこと

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結果として、欧州の証券会社は米国籍ETFを取り扱うことをできず、代わりに、UCITSに対応したETFが取り扱われました。欧州の資産運用会社も既存米国籍ETFに準拠したUCITS ETFをローンチしたりしています。

こちらの記事によると、「米国籍の5大ETFだけでも、欧州のETF市場全体を上回る規模」とのことです。また、欧州に籍を置くUCITS ETFは、PRIIPsが2018年初めにMiFID II規則と並行して発効した際に、新しいKIDの準備ができていたものの、米国籍ETFは準拠しておらず、ほとんどが米国市場にサービスを提供しているため、米国ETFにとってEU承認の情報を自らのコストで作成することは優先事項ではなかったこと挙げられます。

費用対効果を見ても、既存の米国籍ETFをUCITS対応するよりかは、新たにゼロからUCITS版を作ったほうが弁護士費用等といった事務コストが安く済むという点もあるのかな、と思います。

米国籍ETFのUCITS対応早見表(私見)

私見が含まれますが、話題の米国籍ETFがどのUCITS ETFに対応するのか、早見表を作成しました。作成にあたっては、バンガードとiSharesのウェブサイトの他に、米国籍ETFの比較サイト、UCITS ETFの比較サイトを参考にしました。そのほか、QQQの情報を取るために、インベスコのウェブサイトも見ています。

なお、Accは配当金再投資型、Distは分配型を意味しています。TERはTotal Expense Ratioの略で、いわゆる経費率です。

TICKER TER 特長 UCITS ETF 通貨 TER 備考
IVV 0.03% S&P500 iShares Core S&P 500 UCITS ETF (Acc) USD 0.07%
AGG 0.05% 米国総合債券 iShares US Aggregate Bond UCITS ETF USD (Dist) USD 0.25%
IYR 0.41% US REIT iShares US Property Yield UCITS ETF USD (Dist) USD 0.40% IYRよりもUSRTに近い
HYG 0.48% 米国ハイイールド iShares $ High Yield Corp Bond UCITS ETF USD 0.50%
PFF 0.46% 米国優先株 該当なし
HDV 0.08% US高配当 iShares MSCI USA Quality Dividend UCITS ETF USD (Dist) USD 0.35%
QQQ 0.20% NASDAQ100 Invesco EQQQ Nasdaq-100 UCITS ETF Dist USD 0.30%
VOO 0.03% S&P500 S&P 500 UCITS ETF(USD)(Acc) USD 0.07%
VTI 0.03% 全世界株式(大型) Global Stock Index Fund – USD Acc USD 0.18%
VEA 0.05% 先進国株式 該当なし
VWO 0.10% 新興国株式 Emerging Markets Stock Index Fund – USD Acc USD 0.23%
VYM 0.06% 米国高配当株式 FTSE All-World High Dividend Yield UCITS ETF USD 0.29% 米国高配当はなし
VT 0.08% 全世界株式 FTSE All-World UCITS ETF (USD)(Acc) USD 0.22%

UCITS対応の分だけ、コストが嵩んでいるのかもしれませんが、TERはUCITSの方が高い傾向にあることを見て取れます。

なお、証券会社によっては取り扱っていないUCITS ETFもあります。例えば、ドイツで有名なオンラインモバイル証券会社のTraderepublicでは、バンガードのETFを取り扱っていません。とはいえ、TraderepublicはETFだけで約1,500種類、株式は約6,500銘柄取り扱っているので、こういう会社が上場しているのか、というような気づきが出てくるかもしれません。

Traderepublicで証券口座を開設する際の手順はこちらからご参考ください。(口座開設特典の15ユーロがもれなくついてきます。

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