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【米国株】SEC Filingを学ぶ:EDGARの使い方~Formの種類とその意味について

 
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米国証券取引委員会(U.S. Securities and Exchange Commission / SEC)が管理・運営する法定書類開示システム(Electronic Data-Gathering, Analysis, and Retrieval system / EDGAR)については、これまで耳にしたこともあり、実際にアクセスしたこともありますが、使い方やFormの意味があやふやだったりするので、まとてみました。

EDGARで企業を検索する

こちらのリンクから、EDGARにアクセスできますが、アクセスする人の多くは、特定の企業の情報をより詳細に調べようとしている方だと思います。そのような方は、”Company Name”のところではなく、”Fast Search”に調べたい企業のTICKER(証券コード)を入力するほうが良いです。TICKERはユニークなコードですので、似たような企業名でも違う企業が検索結果に出てくることはまずありません。(Company Nameから企業名を入力すると、似たような名称の企業も表示されるため、どの企業がお目当ての企業か判断するのに時間を要します。)なお、”CIK”と記載されていますが、The Central Index Keyの略で、EDGARに開示情報を掲載する企業や個人を特定するために、SECのシステムにて使用される10桁程度の番号ですが、10桁よりもTICKERを覚えているほうが普通かと思いますので、CIKは無視してよいと思います。

Formの種類

個人的に、一番メジャーだと思うFormは、Form 10-Kです。10-Kは米国法人の年次報告書(日本の有報に相当するもの)です。10-K/Aというように、”/A”が付いている場合、これは、”amend”を意味します。”W”が付いている場合、”withdrawal”を意味します。調べてみるといろいろなFormがあるので、種類別にまとめました。

財務データ関連

財務データに関するFormは、タイミング(年次、四半期、重要性に応じて)によって区分されます。

  • 10-K:いわゆるアニュアルレポート(日本の有価証券報告書/有報のような位置付け)。監査済財務諸表や企業に及ぼすであろう重要なリスク要素、ビジネスの概要、前事業年度の決算に対するMD&A(Management’s Discussion & Analysis: 経営陣による説明・考察)が記載されている
  • 10-Q: いわゆる四半期報告書。ただし、未監査。四半期の財務諸表や企業に及ぼすであろう重要なリスク要素に関する更新、前四半期決算に対するMD&Aが記載されている
  • 8-K: Current Report。次の四半期報告書やアニュアルレポート公表よりも前に、公にすべき/すべきと企業が考える重要なイベントや情報を開示したレポート

 

株主総会関連

SECが定める委任状規則の対象となる上場企業、Mutual Funds、ETFは、株主総会にて議決権行使を促すために、株主に委任状説明書(株主総会招集通知書?)送付するよう求められています。委任状説明書には、議決権行使の対象となる事項、役員報酬、企業・ファンドの理事会・役員に関する情報が記載されています。これらの米国上場企業、Mutual Funds、ETFTはEDGARにて委任状説明書を開示します。

  • PRE 14A: Preliminary Proxy Statement  (予備的な委任状説明書)。SECの職員によるレビューを目的としたもの
  • DEF 14A: Definitive Proxy Statement (確定版の委任状説明書)。株主総会にあたって、株主に送付されるもの

 

役員報酬関連

米国内に所在する企業は、CEOやその他の高額報酬を受けている役員を対象に、報酬額とともに役員報酬委員会のポリシーの定期的な開示が求められています。

  • DEF 14A: Definitive Proxy Statement (確定版の委任状説明書)。企業は、詳細な役員報酬を開示するとともに、その報酬に関する説明・分析を含めることが求められます。
  • 10-K: 役員報酬が株主総会招集通知書に記載されていなかったり、企業が招集通知書を届け出ていない場合には、役員報酬はアニュアルレポート(10-K)にて開示が求められます。
  • 8-K: 一定の項目(5.02)にて開示が求められている特定の役員の報酬に変更が生じた場合、8-Kに記載する必要があります。

 

役員等の自社株売買関連

Insider Transactionsとインサイダー取引は意味合いが異なるので、役員等の自社株売買としました。なお、役員等とは、役員(オフィサー)、ディレクター、有価証券を10%以上保有する者のことをいい、これらの役員等には自社株保有状況の定期的な開示と自社株に関するすべての売買取引を開示することが求められています。

  • 3: 実質株主になったことの報告。役員等に該当することとなった日から10日以内に、当該企業の有価証券の保有割合を報告
  • 4: 保有割合変更の報告。自社株を売買した日から2営業日以内に自社株を売買した旨を記載
  • 5: 保有割合の年次報告。当該企業の有価証券の保有割合を記載。

 

大株主関連

大量保有報告書のようなものかと思います。当該企業の発行済み株式(議決権付き)の5%超を取得した者は、その旨を届け出なければなりません。さらに、企業は誰が大株主であるか定期的に開示しなければなりませんし、Mutual Fundsのファンドマネジャーやヘッジファンド、年金基金といった機関投資家は、定期的に保有状況を開示しなければなりません。

  • SC 13D: 当該企業の発行済み株式(議決権付き)の5%超を取得した際に届け出。また、その後、保有割合に変更が生じた際にも使用されるForm
  • SC 13G: 当該企業の発行済み株式(議決権付き)の5%超を、パッシブ投資を通じて取得した際に届け出
  • DEF 14A: Definitive Proxy Statement (確定版の委任状説明書)。株主総会にあたって株主に送付されるものであり、役員、取締役、発行済み株式(議決権付き)の5%超を保有する者の当該企業の保有株式数を開示
  • 13F-HR: 機関投資家のマネジャーが四半期単位で保有状況、保有割合の変更を開示に使用されるForm

 

企業結合関連

M&Aのストラクチャーによって異なる種類のFormが開示されますが、この開示はトランザクションの当事者による開示が求められています。企業結合に関連する一般的なFormは、以下のとおり。

  • PREM14A: Preliminary Proxy Statement relating to Merger or Acquisition (M&Aに関する予備的な委任状説明書)。M&Aに関連する委任状説明書であって、SECの職員によるレビューを目的としたもの
  • DEFM14A: Definitive Proxy Statement relating to Merger or Acquisition (確定版の委任状説明書)。M&Aに関連する委任状説明書であって、トランザクションの条件、背景・理由が含まれている
  • S-4: M&Aの対価として有価証券を使用する際に用いられる登録届出書。この登録届出書は、多くの場合、株主に送付される委任状説明書に含まれている
  • 425: 目論見書と連絡。有価証券が対価の一部とされる企業結合に関して、書面による開示・連絡
  • SC TO-T / SC TO-I: TO-Tは第三者による株式公開買付、TO-Iは発行者による株式公開買付。既存株主から当該企業の発行済み株式を取得しようとする企業が届出
  • SC 14D9: 公開買付の意見表明書。公開買付のターゲット企業が意見表明するために開示する資料
  • 8-K: 企業結合に関する情報(合併契約のイニシャルサイン、買収が株主の承認を必要としない場合には買収される企業に関する情報)はFrom 8-Kを通じて開示される

 

有価証券の公募・売出関連

有価証券の公募・売出にあたって、企業は登録届出書をSECに届け出なければなりません。IPO(新規公開)も含まれます。目論見書書の大部分を占め、当該企業の情報は公募に関する情報が投資家に開示されます。

  • S-1: 登録届出書。IPOに関する公募・売出にあたって届け出される書類
  • S-3: 略式登録届出書。特定の報告企業が有価証券の公募と販売を一般に公開するために利用できる短縮登録届出書
  • 424B: 目論見書。企業情報や登録届出書の大部分を構成する公募に関する情報を開示する文書
  • UPLOAD: SEC職員から企業への書面による連絡(公にリリースされる)であり、IPOに関する企業の登録届出書に関するレビュー内容を含む
  • CORRESP: 企業や企業のアドバイザーからSEC職員に対する連絡(公にリリースされる)であり、SEC職員によるレビュープロセスの間、しばしば行われる

 

クラウドファンディング関連

クラウドファンディングとは、不特定多数の多くの人から、少額の個人投資・寄付を通じて資金を集める手法のことをいいます。株式投資型クラウドファンディングの登録免除に依拠して、有価証券の公募・販売をする企業はEDGARにFormを提出しなければなりません。

  • C: 当該企業の概要、公募の概要について記載されたクラウドファンディング型の公募を実施しようとする企業が提出する公募届出書
  • C-U: 公募期間の間、目標公募額(オンラインで状況を更新する場合を除く)の達成状況や販売された有価証券の最終金額を開示
  • C-AR: 企業のアニュアルレポートであり、財務諸表を含む
  • C-TR: 適格であれば、アニュアルレポートの提出義務を終える会社による、報告の終了を記載したもの

 

Regulation A (証券の少額発行)関連

Regulation Aでは、要件を満たした企業が12ヶ月以内に50百万ドル以下の資金を調達する際に、登録有価証券の公募に必要とされる開示情報よりも、より限定的な開示で有価証券を公募することを認めています。Regulation Aに基づく公募を実施している企業は、公募による調達予定の資本額に応じて、”Tier 1″または”Tier 2″の要件に従うこととなります。なお、20百万ドルまでの場合はTier 1、50百万ドルまでの場合はTier 2に区分されます。 Tier 1公募を行う企業には、公募の終了または完了を開示する最終報告書を提出する以外の継続的な報告要件はありませんが、Tier 2公募を行う企業には継続的な報告要件があります。

  • 1-A: 公募届出書。募集案内、企業とその公募に関する重要な事項を投資家向けに示した文書を含む
  • 1-Z: Exitレポート。 公募の終了・完了を開示するレポート。Tier 2公募を実施する企業は、代わりにフォーム1-Kでこれを開示できます。

Tier2公募を行う企業向けの継続的な報告内容は以下のとおり

  • 1-K: アニュアルレポート。監査済財務諸表や当該事業年度における企業の実績について説明される
  • 1-SA: 半期アニュアルレポート。上期の未監査財務諸表と当該機関における企業実績について説明される
  • 1-U: Current Report。基本的な変更、破産、会計士の変更、過去の財務諸表/監査報告書に依拠しないことの表明、支配株主の変更、主要な役員の退任を含む特定のイベントを開示するために提出される

 

米国外に所在する企業関連

米国外に所在する企業であり、連邦証券法上、外国証券発行者に該当する企業は、米国上場企業によって提出される資料のFormと異なるFormでSECに提出しなければなりません。

  • F-1: 登録届出書。外国証券発行者がこのFormを通じて、有価証券の公募を登録できる
  • 20-F: 外国証券発行者のアニュアルレポート/登録届出書。外国証券発行者の監査済財務諸表、企業実績に関する説明が含まれる。 表紙のチェックボックスは、ファイリングがアニュアルレポートのためのものか、登録届出書のためのものかを示している。
  • 6-K: プレスリリース、有価証券保有者への連絡、本社所在国の法律により有価証券保有者向けに行われる必要がある開示に関連するもの

 

Mututal Funds / ETF関連

Mutual Funds / ETFは上場企業がEDGARに届け出るのと同様にFormを届け出る必要がありますが、異なるFormが用いられ、特定の項目はMMFに関する項目です。ファンドには似たような名前がついているため、意図したファンドを的確に探し当てるために、検索ページにて、TICKERを確認の上、検索したほうがよいです。なお、EDGARに登録されている情報は、通常、ファンドのウェブサイト等を通じて入手することができるので、EDGARよりもそちらを利用したほうが早いかもしれません。

  • N-1A/485: 登録届出書(目論見書を含む)。目論見書には、投資対象・目標、フィー、投資戦略、リスク、成績、アドバイザー、ポートフォリオマネジャー、有価証券の売買状況、税務関連情報が記載されている
  • 497K: 要約目論見書。目論見書全文の冒頭に記載されている必要な情報と同じ重要な情報が記載されている
  • 497: 目論見書の定期更新版。
  • N-CSR / N-CSRS: 年次/半期の株主向けレポート。ファンドがどのように運営されているか、ファンドが保有する有価証券の保有状況とファンドの財務諸表が含まれる。年次の株主向けレポートには、前事業年度のファンドのパフォーマンスに重大な影響を与えた市況、投資戦略も記載される
  • DEF 14A: ファンドの株主総会においてファンドの株主によって議決権行使される事項に関する委任状説明書
  • N-PX: 議決権代理行使の記録。保有するポートフォリオに含まれる投資先の企業の議案の内容と議決権行使状況が含まれる
  • N-Q: 四半期のポートフォリオのリスト。Form N-CSRにて報告されていない第1四半期・第3四半期におけるファンドのポートフォリオのリストが含まれる
  • N-14: ファンド合併に関する登録届出書。ファンド合併関連の情報が含まれる

 

添付書類関連

添付書類には、重要な契約事項や企業の細則、財務諸表、プレゼンテーションなどを含めることができます。添付資料の一覧は、添付資料のインデックスの最後の方にあり、現在、上場企業は、添付資料の一覧に記載されている各添付資料にリンクを貼ることが求められています。添付資料は、ファイリングと同時に提出されることもあれば、以前ファイリングされた添付書類を対象に提出されることもあります。後者の場合、添付資料が以前提出されたものである旨を表記しなければなりません。異なるファイリングと共に提出された場合には、添付資料のインデックスは参照形式で表示されます。添付資料のインデックス(サンプル)は以下のとおり。

  • 3.1: 会社設立証明書
  • 3.2: 企業の細則の修正
  • 10.1: 企業と銀行間のローン契約

 

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