【為替】長期保有するならメキシコペソ?トルコリラ?
無料で為替のヒストリカルデータをダウンロードできるDUKASCOPYから取得する為替の日次データを基に為替のリスクリターンを簡便的に検証してみました。その際、外為情報ナビにて公開されている政策金利を基に、政策金利差をスワップポイントとみなして、スワップポイント考慮後の為替のリスクリターンを簡便的に検証してみました。
目次
2019年1月~3月の総括:トルコリラの独り勝ち? 次点はメキシコペソ?
2019年4月3日の日経新聞の記事”トルコリラ急落、国内FXに余波 取引金利、年1000%以上に 中小、高利息払えず”によると、以下のように、トルコリラ安の背景について触れられています。
トルコリラの急落が外国為替証拠金(FX)取引を手がける個人投資家に影響を広げている。3月下旬にリラをやり取りする翌日物スワップ取引金利が年1千%以上に急上昇したことがきっかけだ。・・・トルコ中銀の外貨準備が大きく減少しているとの投資銀行のリポートをきっかけにリラが急落。エルドアン政権がリラの空売りを事実上制限し、流通量が極端に減った。リラの翌日物スワップ取引金利は年1千%以上に急上昇した。・・・
実際に、各国の政策金利と日本の金利の差をスワップポイントとみなして、2019年1Qの為替の日次変化率を用いて、年率換算後、政策金利調整後リスクリターンをグラフにしてみましたが、トルコリラの政策金利(24%)が影響して、リスク23%に対して、リターンが700%越えとなっており、リターンが他の通貨を大幅に上回っていることもあり、グラフを通じて他の通貨との比較ができません。
そこで、トルコリラを外して各国通貨のリスクリターンを見てみました。すると、景色は変わり、メキシコペソがリスク10%に対して、リターンが100%弱となりました。メキシコペソの政策金利(8.15%)の影響かと思いますが、投資妙味?でしょうか。一方で、豪ドルはリスク30%超に対してリターンは15%程度で、見劣りします。
リスクヘッジとしての豪ドル
実際、相関係数を気にする方は少ないと思いますが、FXをするにあたって、複数通貨を持つことも多いと思うので、相関係数を算定してみました。(対象期間:2019年1Q)
豪ドルと各国通貨の為替変動の相関は低いので、例えば、米ドルを買いつつ、豪ドルを保有することで、米ドル安の際にその影響を緩和できるのではないかと考えられます。
長期投資なら、やっぱり米ドル
DUKASCOPYからトルコリラの為替データを取得できる2010年5月9日から2019年3月31日までを対象に、年率換算後、政策金利調整後リスクリターンをグラフにしてみました。そうすると、上記で見た2019年1Qでは、トルコリラ・メキシコペソが勝ち組のように見て取れましたが、全く違う姿が見えてきます。トルコリラはリスクが高い(17%)の割に、リターンは2.4%です。一方で、米ドルはリスクがトルコリラの半分程度(9%)であるのに対して、リターンはトルコリラよりも高い2.7%です。過去の推移を踏まえると、トルコリラは長期投資に向いていません。
リスクリターンのバランスから、やはり米ドルでしょうか。ただ、米国の債務上限問題は一時的に多くの人に忘れ去られても、また、定期的に議論が活発化する問題のため、過去の延長として将来を考えてよいかどうか、悩みます。
GWを迎えるにあたって
年始に一気に円高に進んで寿命を縮めた人も多いかと思います。歴史は繰り返されるものの、忘れられるものでもあるので、GW前に日経新聞の記事”円、年始の急騰で一時104円台 「AI」「薄商い」が拍車”を一部引用
アジア市場が年始で取引参加者が少なく、流動性が極めて低かったところに「人工知能(AI)による円買い」が加わったことが異例の急伸につながったとみられている。
円買いが加速したのは、3日の午前7時半すぎ。それまで1ドル=108円台後半で推移していた円相場は、わずか1分程度の間に約4円(3.9%)も急騰した