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【日銀】日銀保有のETF取得単価試算【2020年年末】

 

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40代の読書家 兼 エコノミスト。 普段、マネーに世界中をさせています。ブログでは、おカネ(投資)とホン(書評)とタビ(旅行)についてまとめていきたいと思います。「いいね」を押してくださったり、ツイートしてくださると励みになります。 よろしくお願いします。

ホルムズ海峡、コロナ禍、日米政権交代、ワクチン開発、新型コロナウイルス変異種など様々なイベントがありすぎて、先月の出来事すら思い出せない2020年でした。その2020年を通じた日銀のETF取得状況を総括したいと思います。2020年1月6日の日経平均始値は23,319円であり、12月30日の終値は27,444円でした。2020年は1年間で4,125円上昇し、率にすると、約17.7%の上昇です

ETF年間購入枠12兆円を使い切らず、5兆円ほど残あり

2020年を通じて、日銀は約7兆円分のETFを買い増し、年間購入枠12兆円のうち5兆円ほど残しています。とはいうものの、この12兆円の枠は3月のコロナ禍真っ只中において、これまでの上限6兆円を12兆円に引き上げたのですから、当初予定の上限6兆円の枠を使い切っています。

日銀金融政策決定会合の中身

2020年12月17日~18日にかけて開催された金融政策決定会合が実施され、その「結果」の中において、日銀のETF買い入れ方針は、以下の用に示されています。

(2)ETFおよびJ-REITの買入れ方針(全員一致)

ETFおよびJ-REITについて、当面は、それぞれ年間約12兆円、年間約1,800億円に相当する残高増加ペースを上限に、積極的な買入れを行う。(ETFおよびJ-REITの原則的な買入れ方針としては、引き続き、保有残高が、それぞれ年間約6兆円、年間約900億円に相当するペースで増加するよう買入れを行い、その際、資産価格のプレミアムへの働きかけを適切に行う観点から、市場の状況に応じて、買入れ額は上下に変動しうるものとする。)

この内容は、3月16日に開催された金融政策決定会合において全員一致で決定された内容と同じです。(参考:新型感染症拡大の影響を踏まえた金融緩和の強化について)一方で、当面がいつまで当面なのかが気になります。形骸化して、コロナが収まったとしても12兆円の上限を引き下げることはもはやできないと思います

また、「主な意見」が28日に公表されました。その中で日銀によるETF買い入れについて、以下のようにコメントされています。

ETFについては、当面積極的な買入れを維持するとともに、金融緩和が長期化する中、財務の安定性にも配意し、市場の状況に応じた柔軟な調整の余地を探るべきである。

買入れを維持せざるを得ない、裏を返すと、売却や・買入れストップはとてつもないネガティブ材料を日本市場に及ぼすため、やめたくてもやめられない状況だと思います。一方で、「調整の余地」という点について、調整方法が気になります

2020年12月30日時点のETF取得単価試算の前提

2020年9月30日以降も、日銀は継続的にETFを取得しているので、以下の前提をおいて、2020年12月30日時点のETF取得単価を試算しました。

  • 2020年9月30日時点の取得単価:19,835円
  • 終値で取得
  • 指数連動型上場投資信託受益権を日経平均と仮定

指数連動型上場投資信託受益権(ETF)および不動産投資法人投資口(J-REIT)の買入結果”によると、2020年中に、日銀は指数連動ETF71,390億円買入れ、J-REIT1,162億円買入れています。

ETF買入結果は、いつ、どの程度取得したか日銀のウェブサイトにて公開されているため、日経平均ベースの取得単価を試算しました。

ETF取得単価試算(日経平均ベース)は19,953円(2020年12月30日時点)

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9/30から12/303ヶ月の間に日経平均は4,259円上昇(23,185円から27,444円に上昇)しました。同期間において、日銀の取得単価は約118円上昇し、19,953円と試算(評価損益率は+37.5%)されました。

2013年3月31日以降の推移を、日銀の公開資料(財務諸表)と半期・期末時点の日経平均を使って表しました。2020年3月末時点においては簿価割れが懸念されましたが、2020年9月30日時点では日銀のETF取得による含み益率は約17%でした。この後、10月から12月の3ヶ月間で約37.5%にまで拡大しています。

この間、以下の図を見てもわかるように、日銀のETF取得簿価はほぼ横ばいですので、10月から12月は日銀のETF買いに関係なく、市場は湧いていたと捉えることができます。

日銀が筆頭株主であることの懸念事項

日銀によるETFの買入れがさらに進むことによって、コーポレートガバナンスが形骸化しています。現状、日銀はETFの取得を通じて多くの上場企業の実質的に筆頭株主になっており、何も言わない株主として存在しているだけか?議決権行使が正しく行われているか?といった疑念が浮かび上がります。筆頭株主は筆頭株主としての責務を果たさないと個々の企業におけるコーポレート・ガバナンスは絵に描いた餅のような存在になりかねないと思います。

ずいぶん前にこのような趣旨をこのブログでも書きましたが、日経新聞でも12月15日付けの記事「日銀、無言の最大株主 「投資家責任」を求める声も」で同様の趣旨が出ています。

ETFの場合は直接の株主は運用会社となり、運用会社は各社の議決権行使基準に基づいて行動しているため、日銀保有分が「白票」になることはない。それでも、スチュワードシップ活動に積極的なGPIFと異なり、日銀が各社の行使基準などを比較してETFを選ぶわけではない。政府が企業統治改革などを進める中、「最大株主」にも責任ある投資家として振る舞うことを求める声が出ている。

本来は中央銀行が個別企業の選別に関与することは問題が大きい。それでもこうした声が出てくるのは、最大株主となったいまでも膨張し続け、出口政策や時期も不透明な日銀買いへの不安が市場で積もっていることを示している。

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