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【日銀】日銀保有のETF取得単価の試算【UPDATE20190830】

 
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読書家 兼 投資家。 自分の経験・知見、考えていること、感じ取ったことを資産として、残していきたいと思います。

7月29日・30日に2日間にかけて金融政策決定会合が行われ、当面の金融政策運営において、以下のとおり決定されました。全員一致で、これまでと同水準でETF/J-REITを買入れを続けていくとのことです。この記事では、これまでと同様に定点観測として、8月末までの日銀のETF取得単価の推移と年末までの想定取得単価の推移を試算すると共に、あまり注目されていないと思われる日銀保有の国債についても書いてみました。

(2)資産買入れ方針(全員一致)
長期国債以外の資産の買入れについては、以下のとおりとする。
① ETFおよびJ-REITについて、保有残高が、それぞれ年間約6兆円、年間約900億円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。その際、資産価格のプレミアムへの働きかけを適切に行う観点から、市場の状況に応じて、買入れ額は上下に変動しうるものとする。
② CP等、社債等について、それぞれ約 2.2 兆円、約 3.2 兆円の残高を維持する。

 

2019年8月30日時点のETF取得単価試算の前提

2019年3月31日以降も、日銀は継続的にETFを取得しているので、以下の前提をおいて、2019年8月30日時点のETF取得単価を試算しました。

  • 2019年3月31日時点の取得単価:18,336円
  • 終値で取得
  • 指数連動型上場投資信託受益権を日経平均と仮定

指数連動型上場投資信託受益権(ETF)および不動産投資法人投資口(J-REIT)の買入結果”によると、2019年1月1日から8月30日までにおいて、日銀は指数連動ETFを3兆5,058億円購入し、J-REITを252億円分購入しています。

ETF買入結果はいつ、いくら取得したか公開されているため、加重平均をする形式で日経平均ベースの取得単価を試算しました。

日経平均は18,336円から18,583円へ(2019年8月31日時点)

4/1から8/30の5ヶ月の間に、日経平均は約805円下落し、日銀の取得単価は約247円上昇し、18,583円と試算(含み益率は11.4%)されました。

金融政策決定会合の決定事項が、事実上、機能不全に陥っている・形骸化し、一方で老後資金として2,000万円必要であると言われる中で、老後資金の資産形成を考えていくうえで、日本株を保持し続けるか否か、個人がリスクを取るターニングポイントに来ていると思います。個人的には、日本株で一攫千金を狙うようなことはせず、コツコツと米国株ETFを積み立て投資するだけでよいかと思います。余計なことを考えて心を乱されるよりも、しっかりと成長を続けている米国市場に目を向けたほうが合理的だと思います。そもそも、株式投資は一攫千金を狙うような性質のものではなく、しっかりと資産形成をするツールだと思っています。

ちなみに、”信託”は、虎の子の蓄えを信じて託すから信託というと思いますが、投資信託のプロセスがブラックボックス過ぎて、不透明すぎて信じて託せません。

 

年末の想定取得単価は18,743円

年末までの取得単価の推移について、お絵描きしてみました。お絵描きの前提条件は以下のとおり。

  • 1年間でETFを6兆円購入(1/1-8/31までに3兆5,058億円購入していることを踏まえて、2兆4,942億円を9/1-12/31に購入)
  • 9月1日-12月31日まで毎日均等額を購入(線形補完)
  • 20,500円で購入

赤枠がお絵描きの箇所ですが、年末時点の想定取得単価は18,743円(日経平均を20,500円とした場合の含み益率は約9.4%)と試算されました。日銀がETFを通じて含み損を抱えることとなった場合に、日銀が取る行動、海外機関投資家が取る行動を想定しなければならないのですが、有事に備えた一つの目線として、日経平均が20,000円を割れたらイエローゾーン、19,000円を割れたらレッドゾーンと見ていいと思います。

そもそも、このようなマーケット環境で、日本株を買い進める理由は特に見当たらないと思います。日銀とGPIFは買いたくなくても買わざるを得ない事情があると思いますが、個人投資家が積極的に日本株(特に日本株ETF)を買い続ける合理的な理由はないと思います。

 

ETFの平均取得単価よりも注意すべきは国債

日銀が保有するETFの取得価額は約27.5兆円、時価は約30.5兆円ですが、注意すべきは日銀が保有する日本国債です。日銀が保有する日本国債は約460兆円(8月20日時点)です。ETFの15倍超も保有しています。

先日の記事でも紹介しましたが、日銀は利上げすれば、即、債務超過に陥る可能性を有しています。

 

デュレーション試算:12.10年(2019年8月20日時点)

債券は金利が上がると価格が下がり、金利が下がると価格が上がる仕組みになっていますので、金利の上昇が460兆円の国債に与えるインパクトを試算するにあたって、デュレーションという考え方を用いようと思います。デュレーションとは、残存年数を加重平均したものであり、債券投資に対する投資の平均回収期間を表します。

日銀の公表資料から厳密にデュレーションを試算するのは煩雑であること、また、財務省による公表資料「国債管理政策の現状」より、生保大手のデュレーションの動向として、平成27年度のデュレーションが13.0年であることから、日銀が保有する国債の加重平均保有年数と大差ないことがわかりますので、便宜的に、加重平均保有年数をデュレーションとみなすと、2019年8月20日時点における日銀保有国債のデュレーションは12.10年と試算されます。

 

金利1%の上昇で、56兆円の損失

このデュレーションの試算に基づくと、約460兆円の国債の金利が1%上昇すると、56兆円の損失が生じる可能性があり、0.1%の金利上昇で、5.6兆円の損失が生じる可能性があります。

460兆円 x 12.10 x 1% = 56兆円

 

誤解を恐れずに言うならば、1回の利上げで即債務超過!?

日銀の純資産は約3.8兆円ですが、上記の試算を踏まえると、約0.07%の金利上昇で日銀は債務超過に陥る試算結果となりました。これは、利上げ1回で即債務超過に陥る水準ですので、日銀は利上げしたくてもできない状況(利上げをしたら、自分の首を絞める状況)に陥っています。

もちろん、実際経済において、一つの変数だけが動くことは、まずないので実際にはどうなるかわかりませんが、金利上昇が与えるインパクトを具体的に警鐘されている記事をほとんど見かけませんでしたので、まとめてみました。

合理的に、かつ、冷静に考えて、そもそも、こういう国の通貨や株を買う理由があるのか疑問です。

 

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