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【日銀】日銀保有のETF取得単価試算【UPDATE20200430】

 

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読書家 兼 経済人。 自分の経験・知見、考えていること、感じ取ったことを資産として、残していきたいと思います。

3月16日に開催された金融政策決定会合において、ETF・J-REITの積極的な買入れを全員一致で決定されました。(参考:新型感染症拡大の影響を踏まえた金融緩和の強化について)決定以降、ETFの買入れ枠はこれまでの6兆円から12兆円に、J-REITの買入れ枠はこれまでの900億円から1,800億円にそれぞれ倍増され、4月以降、日銀によるまとまった買いが入るときは、ETFは約1,200億円分購入されています。

ETF買入れ方針の変更

3月にETFの買入れ枠が倍増して以降、ETFを巡る日銀の変化として、4月30日に、日銀は「ETFの買入れの運営について」をリリースしました。日銀はこれまでETF購入にあたって時価総額に比例する形式で買入れを行っていましたが、5月1日より銘柄毎の市中流通残高に概ね比例するように買入れることを決定しました。銘柄毎の市中流通残高に比例するように構成されたETFが存在するのか疑問です。TOPIXは時価総額を指数化したものですので、TOPIX連動型の購入を通じて、市中流通残高に比例させることはできません。

JPX日経インデックス400についてWikipediaより以下に引用しましたが、JPX日経インデックス400の構成銘柄は時価総額のみから選定されていないようなので、市中流通残高に比例させることができるかわかりませんが、今後は、TOPIX連動型ETFの買入れは減少し、JPX日経インデックス連動型ETFの買入れが増加すると考えられます。

なお、日経225は東証第一部上場銘柄のうち取引が活発で流動性の高い225銘柄から構成されていますので、日経225連動型ETFは引き続き、日銀によって購入されると考えられます。

この株価指数は東京証券取引所に上場を行っている企業・3400社の中から、投資家に魅力の高い銘柄400社を選び、財務や経営が優秀な日本の株式市場をけん引する銘柄の動きを指数として発表する。指数は2013年8月の最終営業日・8月30日を起点として、この日を10000として計算。以後取引時間中は1秒ごとに算出する。

銘柄の選定は1部に加え、2部及びマザーズJASDAQなどの新興市場も含めた東京証券取引所に3年以上上場している企業の中から特設注意銘柄(上場廃止になる恐れがある監理・整理銘柄も含む)、あるいは過去3年間で連続赤字や債務超過の状態にある企業、直近の決算短信または内部統制報告書が開示されていない企業、直近の財務諸表継続企業の前提に関する注記がされている企業、直近の内部統制報告書に開示すべき重要な不備があったり、内部統制の評価結果を表明できていない企業を除き、売買代金と時価総額を踏まえてまず上位の1000銘柄を組み入れ候補銘柄として選定し、その後その中から、企業の資本効率を示す自己資本利益率(ROE)、営業利益時価総額の3つの指標を基とした定量的な指標を評点として、400銘柄に最終的に絞り込む。なおROEと営業利益は3年間の数値を採用する。

組み入れ銘柄は基準日となる毎年6月最終営業日の時価総額等を元に見直され、組み入れ銘柄のうち評点が440位以内の銘柄が継続され、400銘柄に不足する場合は継続組み入れ以外の銘柄のうち評点の上位から順に400銘柄になるまで採用される。この場合、ROEの3年平均値または直近値のいずれかが上記の組み入れ候補1000銘柄の中央値を上回っている銘柄を優先して採用する。追加・除外リストは8月第5営業日大引け後に公表され、8月31日(31日が土曜日・日曜日と重なる場合は8月の最終営業日)に前営業日の終値で入れ替えを行う。

参考までに、2018年7月31日にリリースされた「今後のETFの買入れの運営について」によると、銘柄ごとの時価総額に概ね比例するように買い入れる旨、明記されています。

2020年4月30日時点のETF取得単価試算の前提

2019年9月30日以降も、日銀は継続的にETFを取得しているので、以下の前提をおいて、2020年3月31日時点のETF取得単価を試算しました。

  • 2019年9月30日時点の取得単価:19,009円(日銀のB/Sに計上されている額と日経平均を用いて試算)
  • 終値で取得
  • 指数連動型上場投資信託受益権を日経平均と仮定

指数連動型上場投資信託受益権(ETF)および不動産投資法人投資口(J-REIT)の買入結果”によると、2020年1月1日から4月30日までにおいて、日銀は指数連動ETFを3兆8,036億円購入し、J-REITを575億円分購入しています。

ETF買入結果は、いつ、どの程度取得したか公開されているため、加重平均をする形式で日経平均ベースの取得単価を試算しました。

日銀のETF取得単価は19,192円(2020年4月30日時点)

2020年3月末時点の日経平均は18,848円、日銀が保有するETF取得単価(試算)は19,195円でした。4月の1ヶ月間に日経平均は約1,346円上昇しました。同期間において、日銀の取得単価は約3円下落し、19,192円と試算(評価損益率は+5.2%)されました。コロナによる(先を見通せない)不安から3月半ばにかけてスティープに下げていることがわかります。(以下のグラフ上、オレンジ色の折れ線)その後、持ち直していますが、予断を許さない状況です。

年末の想定取得単価は19,059円?

年末までの取得単価の推移について、お絵描きしてみました。お絵描きの前提条件は以下のとおり。

  • 1年間でETFを12兆円購入(1/1-4/30までに3兆8,036億円購入していることを踏まえて、8兆1,964億円を5月1日-12月31日に購入)
  • 5月1日-12月31日まで毎日均等額を購入(線形補完)
  • 日経平均は19,500円(~6/30)、19,000円(~11/14)、18,500円(~12/31)で推移

赤枠がお絵描きの箇所ですが、年末時点の想定取得単価は19,158円(日経平均を18,500円とした場合の評価損益率は約▲3.4%、約1兆3,800億円の評価損)と試算されました。

ETFの平均取得単価よりも注意すべきは国債

日銀が保有するETFの取得価額は約32.1兆円、時価は約33.8兆円ですが、注意すべきは日銀が保有する日本国債です。日銀が保有する日本国債は約465兆円(4月20日時点)です。ETFの約14倍も保有しています。償還に伴って一時的に下落する時期がありますが、国債保有残高も加重平均保有年数も着実に右肩上がりのグラフとなっていることがわかります。

 

デュレーション試算:12.29年(2020年4月20日時点)

債券は金利が上がると価格が下がり、金利が下がると価格が上がる仕組みになっていますので、金利の上昇が465兆円の国債に与えるインパクトを試算するにあたって、デュレーション(残存年数を加重平均したもの)であり、債券投資に対する投資の平均回収期間を表します。

日銀の公表資料から厳密にデュレーションを試算するのは煩雑であること、また、財務省による公表資料「国債管理政策の現状」より、生保大手のデュレーションの動向として、平成27年度のデュレーションが13.0年であることから、日銀が保有する国債の加重平均保有年数と大差ないことがわかりますので、便宜的に、加重平均保有年数をデュレーションとみなすと、2020年4月20日時点における日銀保有国債のデュレーションは12.29年と試算されます。

金利1%の上昇で、57兆円の損失

このデュレーションの試算に基づくと、約465兆円の国債の金利が1%上昇すると、57兆円の損失が生じる可能性があり、0.1%の金利上昇で、5.7兆円の損失が生じる可能性があります。

465兆円 x 12.29x 1% = 57兆円

誤解を恐れずに言うならば、1回の利上げで即債務超過!?

日銀の純資産は約4.1兆円ですが、上記の試算を踏まえると、約0.08%の金利上昇で日銀は債務超過に陥る試算結果になります。これは、利上げ1回で即債務超過に陥る水準ですので、日銀は利上げしたくてもできない状況(利上げをしたら、自分の首を絞める状況)に陥っています。

実際の経済において、一つの変数だけが動くことは、まずないので実際にはどうなるかわかりませんが、金利上昇が与えるインパクトを具体的に警鐘されている記事をほとんど見かけませんでしたので、まとめてみました。

口を酸っぱくして毎月末にアップデートしてますが、合理的に、かつ、冷静に考えて、そもそも、こういう国の通貨や株を買う理由があるのか疑問です。

日銀が筆頭株主であることの懸念事項

日銀によるETFの買入れがさらに進むことによって、コーポレートガバナンスが形骸化する恐れがあります。現状、日銀はETFの取得を通じて多くの上場企業の実質的に筆頭株主になっており、何も言わない株主として存在しているだけか?議決権行使が正しく行われているか?といった疑念が浮かび上がります。筆頭株主は筆頭株主としての責務を果たさないと個々の企業におけるコーポレート・ガバナンスは絵に描いた餅のような存在になりかねないと思います。

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