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【日銀】B/S推移の見える化を通じて見えてくること

 

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xpelife
読書家 兼 投資家。 自分の経験・知見、考えていること、感じ取ったことを資産として、残していきたいと思います。

日銀が保有するETFの取得単価の試算に続いて、日銀のB/Sも見てみました。

資産の部: ETFよりも国債の保有の方がはるかに大きい

日銀によるETF買入れが、たびたび報道されていますが、信託財産株式・ETF(約31兆円: 2020年3月31日時点)が日銀の総資産604兆円(同時点)に占める割合は5%程度であり、日銀の資産の部の約8割は国債から構成されています。なお、日銀が保有するETF(TOPIX連動ETF+REIT ETFと仮定)が東証一部の時価総額(約530兆円: 2020年3月31日時点:参考)とREIT時価総額(約12.4兆円: 同時点:参考)の合計(約542兆円)に占める割合は約6%です。

日本株の投資家は、日銀によるETF購入が株式市場に与える影響を頭の片隅に入れておかなければなりませんが、日本円で生活する人は金利変動がB/Sに与える影響、債務超過に陥った日銀が待つ将来を想像しなければならないと思います。特に、金利上昇は債券価格の下落につながるため、今後、日本国債の金利が上昇する局面では、国債評価損(債券取引損失引当金繰入額)のP/L計上を通じて純資産(4.5兆円: 2020年3月31日時点)に与える影響(債務超過)が懸念すべき点です。

ETFと国債の保有割合を踏まえると、株価下落による保有ETF評価損(損失引当金繰入額)よりも、金利上昇による保有国債評価損(債券取引損失引当金繰入額)の方がP/Lに与える影響が大きいと思います。以下のグラフは資産の部の内訳について、2013年9月末からの推移を金額、比率でそれぞれ表したものです。後で触れますが、2020年3月末において、外国為替の割合が増えている点が気になります。

財務省の公表資料によると、国債発行残高の約47%を日銀が保有していることがわかり、銀行・生損保といった機関投資家を抜いて、最大の債券保有者となっています。

負債の部: 急増する当座預金

資産の部にて国債が増える一方、負債の部の預金(市中銀行が日銀に預け入れる当座預金)の残高が積みあがっています。日銀は市中銀行より預金金利で資金調達のうえ、国債で運用しているという見方もできますが、調達金利と運用金利が逆ザヤになったら、有利子負債と運用資産のボリュームにもよりますが、日銀のP/Lに損失が計上される可能性が高まります

 

金地金の推移: 保有トン数もB/S計上金額も変わらず

中央銀行が金を保有していることは周知の事実であり、日銀が保有している金が計上されている勘定科目は、日銀の「金地金引出条項付預金の取扱いについて」によると、「金地金」勘定で計上されていることがわかります。

ただ、非常に興味深いことに、日銀の金地金は、2013年9月30日時点から2020年3月31日時点のB/Sの推移をみる限りにおいて、金額に変更はなく、また、金の保有残高も変更ありません。なお、World Gold Councilのサイトによると、日銀は金地金を765トン保有しています。(以下のグラフ参考)

2020年3月31日時点の日銀が計上している金地金は4,413億円であり、同日の金保有トン数が765トンであるとすると、取得原価は約577円/gとなります。2020年5月29日時点の税込買取価格(田中貴金属:6,485円/g)で時価評価すると約4兆5,197億円の評価益が生じますが、なぜ、時価評価していないのか、開示されておらず、また、担当監査法人の記載がありません(参照:日銀日経新聞)。監査法人による会計監査が実施されている株式会社であってもコーポレートガバナンスが不十分な会社が多いなかで、(監査法人による会計監査があれば十分というわけではありませんが)株式会社ではない日銀にコーポレートガバナンスが浸透しているかどうか外形的に疑問です。

保有国債の内訳推移: 減少する短期、増加する10年超

保有国債の推移を見ると、2年物以下の年限を減らしつつ10年物以上の割合を増やしていることを見て取れます。保有国債が約486兆円であり、また、負債の部に計上されている預金が約447兆円であることを踏まえると、日銀は当座預金を使って、国債を買い入れている・支えているように見て取れます。

仮に、市中銀行が日銀への当座預金のうち超過準備額を減らしたら、日銀は国債を売却して市中銀行に現金を還流させなければならないでしょう。そうなると、日銀による国債の売却は需給を悪化させ、(いろいろな思惑もあって)金利が上昇し、国債の価格は下落し、日銀は評価損を計上する、という悪循環に陥ると思います。

2016年1月に導入されたマイナス金利付き量的・質的金融緩和は、中央銀行と市中銀行の関係・生態系を崩さないことを前提とした、アナウンスメント効果を狙っただけ(実質建前)な気もします。

そもそも金銭消費寄託契約に基づく期限の定めのない預金を使って、長期性資産を運用すること自体、財務リスクを負っており、その財務リスクが兆円単位となると、市中銀行は超過準備額を減らさないであろうという性善説・前提(あるいは指導)のもと、運用されている気がします。

日銀が保有する国債の年限は、加重平均で12.21年であり、年々、年数が増えていることがわかります。

10年物から30年物までの国債の保有割合が年々増えていることがわかります。

保有外国為替の内訳推移: 増加する貸付金

資産の部に計上されている外国為替の内訳を見てみると、2019年9月30日時点までは債券の比率が減少し、預け金・貸付金が増加していることがわかりますが、2020年3月31日時点において、外貨貸付金が異常値ではないかと思うくらい急増していることがわかります。この点について、財務諸表の注記を見てみると、以下のように記載されていました。コロナ禍の影響を受けて、日銀が金融機関に外貨を貸し付けた結果だと思われます。

「貸出支援基金」の運営として行う成長基盤強化を支援するための資金供給における米ドル資金供給に関する特則による貸付金の残高及び米ドル資金供給オペレーションによる貸付金の残高

日本の将来を考えるうえで、日銀のB/Sはなかなか興味深いです。

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