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【企業分析】ダモダラン・オンラインの概要

2024/12/06
 

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この記事を書いている人 - WRITER -
40代の読書家 兼 エコノミスト。 普段、マネーに世界中をさせています。ブログでは、おカネ(投資)とホン(書評)とタビ(旅行)についてまとめていきたいと思います。「いいね」を押してくださったり、ツイートしてくださると励みになります。 よろしくお願いします。

世界経済・金融の中心地でありニューヨーク、その中心とも言えるウォール街の近くに位置するニューヨーク大学のビジネス・スクール(レナード・N・スターン・スクール)は、ファイナンスに強いビジネススクールで知られています。私も、20代の時に十分な資金と英語力があれば行きたかったビジネススクールです。(旅行でニューヨークに行った際にNYUのキャンパスでマグカップを買った程度です。)

このビジネススクールでは、Zスコアモデル(2年後の企業の倒産予測モデル)を開発したエドワード・アルトマン(Edward Altman)教授やコーポレートファイナンス/バリュエーションの分野で有名なアスワス・ダモダラン(Aswath Damodaran)教授が教鞭を執っています。

今回は、無料で使えるダモダラン・オンラインの使い方を学んで、使い倒す・使いこなすことを目標に書こうと思います。この教授の素晴らしいことは、御自身の研究成果を惜しげもなく公開していることです。

提供されている情報

  • Teaching: MBAの通常授業、エグゼクティブ向け授業、オンライン授業、セミナーなど
  • Writing: ダモダラン教授が執筆された書籍、論文、ブログ、記事など
  • Data: コーポレートファイナンス目的/バリュエーション目的に、米国をはじめとする他国の企業を対象とする業界平均に関するデータが収載されており、エクイティリスクキャピタルや資本コストの見積値も記載されている。
  • Tools: 企業価値分析、企業分析をするためのExcelのダウンロードが可能。(Webcastによる使い方の解説付き)

 

Teaching

通常の授業で使用される講義ノート、シラバス、進行中の講義資料の閲覧が可能です。パワポベースの資料をダウンロードして見たり、PDF形式でタブレットなどを使って見たりすることも可能。ただ、パワポは1ファイルが数十MBもあり、ファイルが壊れているので、PDF形式をブラウザで見るほうが良いと思います。

(Damoradan氏の講義資料より一部転載)

そのほか、ウェブキャストや補講も用意されています。

(Damoradan氏のウェブサイトより一部転載)

Writing

ダモダラン教授は何冊も上梓していますが、どの書籍を購入すればよいかわからないという人向けに、教授自身が、書籍の概要、想定する読者層などを表形式でまとめています。また、書籍において触れられているデータ(Excelファイル、PDFファイルなど)をダウンロードすることも可能ですので、自分で手を動かしてみることも可能です。(多くの著者はRawDataを公開していないので、さらに深く学びたいと思っても、立ち止まることが多いですが、ダモダラン教授は違います。)

楽天から購入される場合は、こちらから。

なお、以下の本以外に日本語翻訳版も出版されていますが、日本語訳が拙い書籍(例:資産価値測定総論1)もあるので、すべての方にはお勧めしません。英語の文章を読める方ならば、原著に触れたほうが良いと思います。「企業に何十億ものバリュエーションが付く理由」は特定の読み手を対象としたものではなく、数字に説得力をもたせるためにストーリーテリングの重要性を、バリュエーションと結び付けた傑作です。原著は上に触れた”Narrative and Numbers: The Value of Stories in Business”です。

楽天から購入される場合は、こちらから。

Data

ダモダラン・オンラインにアクセスする多くの方は、実務でDataのダウンロードや参照したい方だと思います。ダウンロード方法など含めて、こちらについては、別の記事としてまとめようと思います。データ、いじるの、結構、楽しい。

 

Tools

1: ベータ(β)の取得

βを自動で計算してくれますので、Bloomberg端末を利用できなくても、時系列で取得することができます。簡便的にさくっと情報を取りたい人向けでしょうか。

ステップ1: “Tools”をクリックしてから、”Calculate the beta for a stock”をクリック(黄色でハイライトしたところ)

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ステップ2: Tickersのボックスに企業名あるいはTickerを入力(米国市場に上場している企業に限られます)

参考として、航空・郵送会社関連を入れてみました。

ステップ3: 諸条件を選ぶ

数学的に言うと、最小二乗法による回帰直線を算出し、その傾きを求めるのですが、ざっくり言うと、βを計算するにあたって、散布図から回帰直線(1次方程式)を引いて、その傾きを算出します。散布図のプロットにあたって、マーケットインデックスのリターン(変化率)と求めたい銘柄のリターン(変化率)を月次あるいは週次でプロットします。十分な数の標本を得ることと、マーケットのノイズを除外することを目的に、通常は2年週次の約100個の標本あるいは5年月次の約60個の標本のいずれかでベータを算出することが多いです。

こういう小難しいことをすることは一切なく、いくつかクリックするだけで済みます。

ステップ4: 結果の取得

表形式でβ、修正βなどを取得できますし、t値も見ることができます。また、R^2を見れますので、コンプス(ガイドラインカンパニー)から、より確からしいデータを取得したいときは、R^2(決定係数)が0.05(5%)以下の企業を除外します。むしろ、ここまでやろうとする人は、普通にBloomberg端末を仕事で使う環境にある人かと思います。

なお、CSV形式で、β、株価、リターン(月次変化率もしくは週次変化率)のほかに、共分散行列も取得できるのでポートフォリオの検討に使えそうな気がします。(ただ、時間を費やしても結果として自己満足に終わるので儲けようというよりかは探求心ある人向けですね。)

2: 標準偏差(変化率)の取得

βと同様の要領で、個別株の標準偏差(変化率)を取得することが可能です。

3: 効率的フロンティア曲線の取得

これ、結構すごいです。テンションあがりました。銘柄をいくつか入力して、頻度、期間、リスクフリーレートを設定して、クリックするだけ。バックテストとして使って、自分のポートフォリオを見直してみるのに良いかもしれません。

 

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