【日銀】日銀保有のETF取得単価試算【UPDATE20200331】
3月16日に開催された金融政策決定会合において、ETF・J-REITの積極的な買入れを全員一致で決定されました。(参考:新型感染症拡大の影響を踏まえた金融緩和の強化について)
買入れ枠は、ETFはこれまでの6兆円から12兆円に、J-REITはこれまでの900億円から1,800億円に倍増されました。買入れ枠の倍増が決定されて以降、1,200億円、2,000億円といったまとまった規模で購入が進められています。
目次
2020年3月31日時点のETF取得単価試算の前提
2019年9月30日以降も、日銀は継続的にETFを取得しているので、以下の前提をおいて、2020年3月31日時点のETF取得単価を試算しました。
- 2019年9月30日時点の取得単価:19,009円(日銀のB/Sに計上されている額と日経平均を用いて試算)
- 終値で取得
- 指数連動型上場投資信託受益権を日経平均と仮定
”指数連動型上場投資信託受益権(ETF)および不動産投資法人投資口(J-REIT)の買入結果”によると、2020年1月1日から3月31日までにおいて、日銀は指数連動ETFを2兆5,764億円購入し、J-REITを315億円分購入しています。
ETF買入結果は、いつ、どの程度取得したか公開されているため、加重平均をする形式で日経平均ベースの取得単価を試算しました。
日銀のETF取得単価は19,195円(2020年3月31日時点)
2020年2月末時点の日経平均は21,143円、日銀が保有するETF取得単価(試算)は19,234円でした。3月の1ヶ月間に日経平均は約2,295円下落しました。同期間において、日銀の取得単価は約39円下落し、19,195円と試算(評価損益率は▲1.8%)されました。コロナによる(先を見通せない)不安から3月半ばにかけてスティープに下げていることがわかります。(以下のグラフ上、オレンジ色の折れ線)その後、持ち直していますが、予断を許さない状況です。
年末の想定取得単価は19,059円?
年末までの取得単価の推移について、お絵描きしてみました。お絵描きの前提条件は以下のとおり。
- 1年間でETFを12兆円購入(1/1-3/31までに2兆5,764億円購入していることを踏まえて、9兆4,236億円を4月1日-12月31日に購入)
- 4月1日-12月31日まで毎日均等額を購入(線形補完)
- 4月-6月の日経平均は18,500円。7月-10月は19,000円。11月以降は18,000円。
赤枠がお絵描きの箇所ですが、年末時点の想定取得単価は19,059円(日経平均を18,000円とした場合の評価損益率は約▲5.6%)と試算されました。評価損は5,594億円と試算され、2020年3月期の日銀のP/L上、この金額が引当金繰入額としてP/Lに計上され、計上された金額だけ、利益を押し下げます。日銀の純資産は約4兆円しかないので、日銀の当期純利益が▲4兆円になれば、債務超過に転落します。