【日銀】日銀保有のETF取得単価試算【UPDATE 20200228】
目次
2020年2月28日時点のETF取得単価試算の前提
2019年9月30日以降も、日銀は継続的にETFを取得しているので、以下の前提をおいて、2020年2月28日時点のETF取得単価を試算しました。
- 2019年9月30日時点の取得単価:19,009円(日銀のB/Sに計上されている額と日経平均を用いて試算)
- 終値で取得
- 指数連動型上場投資信託受益権を日経平均と仮定
”指数連動型上場投資信託受益権(ETF)および不動産投資法人投資口(J-REIT)の買入結果”によると、2020年1月1日から2月28日までにおいて、日銀は指数連動ETFを1兆280億円購入し、J-REITを48億円分購入しています。
ETF買入結果は、いつ、どの程度取得したか公開されているため、加重平均をする形式で日経平均ベースの取得単価を試算しました。
日銀のETF取得単価は19,234円(2020年2月28日時点)
2020年1月末時点の日経平均は23,205円、日銀が保有するETF取得単価(試算)は19,163円でした。2月の1ヶ月間に日経平均は約2,062円下落しました。同期間において、日銀の取得単価は約70円上昇し、19,234円と試算(評価損益率は+9.9%)されました。2/21から2/28にかけて4営業日で2,244円下落しましたので、その影響を受けて、含み益率(以下のグラフ上、オレンジ色の折れ線)はスティープに下げていることがわかります。
年末の想定取得単価は19,367円?
年末までの取得単価の推移について、お絵描きしてみました。お絵描きの前提条件は以下のとおり。
- 1年間でETFを6兆円購入(1/1-2/28までに1兆280億円購入していることを踏まえて、4兆9,720億円を3/1-12/31に購入)
- 3月1日-12月31日まで毎日均等額を購入(線形補完)
- 3月の日経平均は21,000円。4月は20,500円。5月以降は20,000円。
赤枠がお絵描きの箇所ですが、年末時点の想定取得単価は19,367円(日経平均を20,000円とした場合の評価損益率は約3.3%)と試算されました。日経平均が20,000円を下回ったら、注視していかないとならないですが、個人的には、日銀が保有するETFが簿価割れする(日銀が含み損を抱える)世界を見てみたいです。
2020年1月は、中東情勢緊迫や、コロナウイルスとネガティブなニュースが多く、2月に入ってからはコロナウイルス一色になったように感じられます。1日だけ有事のドル買いということで円安に進みましたが、翌日には、安全資産と推測される日本円が買われ、円高に進みました。なお、日本円が安全資産とされる理由は、以下の2点によるものと、私なりに考えています。
- 外貨準備高に対する輸入額の割合から日本円は安全資産のうちの一つと言える
- 取引ボリュームも踏まえると、安全資産と呼べるのは日本円だけと考えられる
2月に入ってから米国債(10年物)の金利は下がり(買われ)、また金先物は買われていますので、相対的に安全資産とされる金融商品に買い進んでいることがわかります。