【2764】ひらまつは売上×、営業利益×、営業利益率×(2019年3月期)
ひらまつの2019年3月期の有報が公表されましたが、売上高、営業利益、営業利益率全ての項目で前事業年度割れです。
- 売上高 × (11,642百万円→10,948百万円の約693百万円減)
- 営業利益 x (1,519百万円→740百万円の約778百万円減)
- 営業利益率 x (13.1%→6.8%の約6.3ポイント減)
レストラン事業に注力していた時は、高利益率、高効率でROE20%は当たり前でしたが、ホテル事業に進出して以降、これまで見られた効率は低下傾向、利益率も低下傾向です。なお、ROE(自己資本利益率) は前事業年度の14.3%に対して、今期は0.75%(約13.5ポイント減)です。
ひらまつの業績を牽引してきていたウエディングの比率は、前事業年度よりも4.1ポイント下落しました。2011年9月期の売上における婚礼営業の割合は50%でしたが、直近事業年度では35%を切っています。通常、土日に結婚式を挙げることが多いと思いますので、週6日の営業として、土日の2日間(一週間の33%)で、売上の50%を稼いでいたことになるので、レストランを高効率で経営する上で、婚礼はなくてはならないものと考えられます。一方で、ホテル事業はまだ業績に貢献していません。ホテル業に進出し始めたころからROE(自己資本利益率)とROA(総資産経常利益率)は急下降しており、回復の兆しはありません。
その他セグメントをホテル事業と読み替えても良いかと思いますが、ホテル事業は伸びているものの、レストラン事業の落ち込みをカバーできていないことがわかります。
個人的には、豪華旅館の客室露天風呂や、豪華ホテルのプール等々を利用してみたいですが、投資家という目線で捉えると、正直言って、厳しいと思います。ホテル事業をレストラン事業と同様、高利益率・高効率経営をできるか疑問です。逆を言えば、ホテル事業を高利益率・高効率経営できる経営者は名経営者だと思います。
真山 仁著の「ハゲタカ2.5(上)」、「ハゲタカ2.5(下)」においても、
高級ホテルや老舗旅館を手に入れるファンドは多い。だが、鷲津は買収対象としてのホテル業界には興味がなかった。高い稼働率を維持するための経営努力が並大抵でないからだ。ホスピタリティを追求しようとすれば人件費が膨らみ、たとえ大盛況であっても利益率が上がらないというジレンマに落ち込む
とか、
ああいうのは客として遊べるからいいのよ
とホテル業界への投資について、ネガティブに触れられています。
ひらまつへの3つの提言
ひらまつへの提言は、3つあります
1: 創業者との関係の断ち切り
ニュースリリースで公表することなく、レストランひらまつを創業者に譲渡したり、創業者の意向で始めたホテル事業を継続したり。
レストランひらまつ高台寺・高台寺十牛庵を1,215,400千円で譲渡したものの、当期の現金受取額は54,324千円のみです。残りの1,161,076千円は長期未収入金と流動資産の部のその他に計上されています。残りの約11億円は2027年3月期までの8年間にわたって分割回収します。
ただ、2019年3月期の有報より、創業者である平松氏が844,100株を新たに取得し、主要株主に返り咲きました。(なお、平松慶子氏の保有株主は500,000株減少しています。)興味深いことに機関投資家として2018年3月期の有報に記載された大株主がリストから消えました。この機関投資家は、United Nations for the United Nations Joint Staff Pension Funds(国連合同職員年金基金)であり、861,000株を保有していました。
2: ホテル事業が軌道に乗るまで無配の継続
ホテル事業への進出を第二創業期と捉えるならば、無配を貫くことについて、株主の理解を得るべきです。無配を決定した3ヶ月後に復配を決定する等、一部の株主による影響力があるのではないかと邪推してしまいます。
本業のレストラン事業が悪化、第二の柱としてのホテル事業は未完、そのような事業環境下において配当を継続する意味があるのでしょうか?
3: コーポレートガバナンスの徹底
取引先でもあり、大株主でもあるNTT都市開発から独立社外取締役を招聘したり、”独立”社外取締役が運営する会社・関係会社から購入(33百万円、13百万円)したり、譲渡(16百万円)したり。売上規模の観点から、ひらまつにとって些細かもしれませんが、この画廊にとってはかなりの売上かもしれません。ほかの画廊と取引する術はないのでしょうか?独立とはいったいなんでしょうか?