【日銀】ETF取得単価は日経平均ベースで18,730円(3/31時点)
日銀のETF取得単価を毎月試算していましたが、公となった令和元年度の財務諸表等を基に試算し直しました。
目次
日経平均: 18,730円、TOPIX:1,475が目線
日銀は2020年4月30日に公表された「ETFの買入れの運営について」にてETFの買入額の配分を公表しましたが、実際に、どのETFをどれだけ購入しているか明示されるわけではありません。公表情報より精緻な試算はできないので、簡便的に試算しました。
(日銀のウェブサイトより)
試算にあたって、(1)日銀が保有するETFがすべて日経225をベンチマークとするETFであるとした場合、(2)すべてTOPIXをベンチマークとするETFであるとした場合の2パターンにわけてグラフにしてみました。いずれも、2020年3月31日までのデータで現在公表されているものを使っています。
2020年3月31日時点において、信託財産指数連動型上場投資信託の簿価30.9兆円に対して時価は31.2兆円であり、含み益は0.3兆円(+1%)です。3月31日の日経平均終値は18,917円01銭でしたので、これらを基に、簿価を日経平均ベースに引き直すと、18,730円33銭と試算されます。
なお、日経平均のヒストリカルデータはこちらを参照しました。
同様に、2020年3月31日のTOPIXは1,403.04でしたので、同様に、簿価をTOPIXベースに引き直すと、1,387.39と試算されます。
なお、TOPIXのヒストリカルデータはこちらを参照しました。以下のグラフはETFの推移を示しており、オレンジ色は含み益を表していますが、2020年3月31日時点において、ほぼ含み益がない状況となっており、日銀のB/Sは株安に弱い財務体質になっていると窺い知ることができます。
東証REIT指数は1,475
日銀は、J-REITのETFも購入しているため、日銀保有のREIT関連のETFの簿価は、東証REIT指数に引き直すとどの程度になるか試算しました。
2020年3月31日時点において、簿価5,755億円に対して時価は6,222億円であり、含み益は467億円(+8.1%)です。このときの東証REIT指数終値は1,595.19でしたので、これらを基に、簿価を東証REIT指数ベースに引き直すと、1,475.46と試算されます。
なお、東証REIT指数のヒストリカルデータはこちらを参照しました。
評価損益率の推移(0% = ブレークイーブン)
日銀は、年々ETFの購入金額を増やしており、加重平均の観点からも直近の取得価額に引っ張られることもあって、評価損益率は年々下落傾向にあります。特に、2020年に入ってからは、コロナ禍の影響もあり、評価損益率がスティープに下落していることがわかります。