【為替】2020年1月~3月の総括:1日に5%動く日も
2020年最初の3ヶ月。1月上旬に話題になったホルムズ海峡。多くの方は既に忘れて、最近の関心事はコロナ一色だと思います。コロナであぶく銭を得た人もいれば、溶かした人もいると思います。なかなか厳しい環境だった1月~3月を振り返ります。
リスク・リターンのプロット等を用いて視覚化しますが、長期保有される方には忍耐・胆力が求められ、短期のトレーダーには潮の変わり目を捉えるのが難しいマーケット環境(ロングだけではなく、ショートも駆使しないと辛い時期)だったと思います。
視覚化にあたって、無料でヒストリカルデータをダウンロードできるDUKASCOPYから取得する為替の日次データを基に為替のリスクリターンを簡便的に検証しました。その際、外為情報ナビにて公開されている政策金利を基に、日本と相手通貨の政策金利差をスワップポイントとみなして、スワップポイント考慮後の為替のリスクリターンを簡便的に検証しました。
目次
2020年1月~3月の総括:スワップポイントがなければ、どの通貨もBUY&HOLDは負け
2020年1月1日時点を100として指数化したグラフは以下のとおりです。
円高基調のなか、一日に3%以上も変動する日(南ア・ランドは5%以上変動する日もありました)も散見されたため、ロングポジションだけを取っている方にとっては忍耐(あるいは損切の覚悟・潔さ)を求められるマーケット環境でした。スワップポイントを考慮に入れない場合、ロングポジションのリターン(年率)は、すべての通貨でマイナスです。特に南ア・ランドとメキシコペソのマイナスが顕著です。一方で、ユーロは底堅く辛抱した感じがします。
政策金利をスワップポイントとみなしてグラフ化(年率換算後リスクリターン)を試みました。トルコリラの政策金利は2019年12月時点において12%でしたが、3月まで毎月引き下げられ、9.75%にまで下がりました。金利が引き下げられているものの、他の通貨の政策金利よりも相対的に大きいため、案の定、見づらいグラフになってしまいました。
トルコリラを外したグラフは以下のとおりです。結果として、米ドルは沈没を回避でき、プラスのリターンですが、他通貨は軒並み水面下に位置しています。リスク(ブレ幅)が大きいので、短期トレード前提の相場だったかと思います。
為替ポートフォリオ戦略取るなら、LONG&SHORT
通常、豪ドルと各国通貨の為替変動の相関は低い傾向にあります。2019年通期を見ても、相関係数は他通貨と比較しても低い傾向にあり、緑色で表示されます。長期的に見て、豪ドルは他通貨に対して相関がない(弱い)という前提に立つと、例えば、米ドルを買いつつ、豪ドルも買うことで、同じロングポジションでありながら、米ドル安の際にその影響を緩和できるのではないかと考えられます。為替ポートフォリオ戦略を考える際に豪ドルを保有するということも一案としてありえます。
対象期間:2019年1月1日~12月31日
ただ、2020年1月~3月においては、ほぼすべての通貨ペアにおいて強い相関が見られますので、日本円を基に考えた場合、ある通貨を買ったら、別の通貨を売らないと為替ポートフォリオ戦略が機能しません。ロングとショートを織り交ぜて、日々トレードをするのは、個人にとって相当の胆力が求められると思います。
経済合理性のある投資は、やっぱり米ドル
2008年1月1日を100として指数化したグラフ(トルコリラについては、DUKASCOPYからデータを取得できる2010年5月9日を100としています)は以下のとおりです。2008年1月1日と比較して100を超えている通貨はありません。(ドルは98.07でした)トルコリラについては、2010年5月9日と比較して、約75%も円高に進んでいます。(1トルコリラ=60円が16円にまで円高に進んでいます)
DUKASCOPYからトルコリラの為替データを取得できる2010年5月9日から2020年3月31日までを対象に、年率換算後、政策金利調整後リスクリターンをグラフにしました。トルコリラはリスクが高い(17%)割に、リターンは2.4%程度です。一方、米ドルはリスクが9%程度である一方で、リターンは2.3%強です。リターンを0.1%増やすために2倍のリスクを取るというのは賢明とは言えないと思います。以下の図を踏まえると、トルコリラと米ドルどちらかを選ぶとしたら米ドルを選択することが合理的な選択と言えます。