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JALのLCC事業参入にネガティブな心象です。

 
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読書家 兼 投資家。 自分の経験・知見、考えていること、感じ取ったことを資産として、残していきたいと思います。

5月9日(水)の日経新聞の朝刊に、JALがLCC事業に参入する旨の記事が載っていました。

“日本航空は格安航空会社(LCC)を新設する。日本発着の格安便では初となる欧州や米本土向けを含む中長距離路線の運航を2020年にも始める。日航はこれまで経営再建を優先し、LCC事業は共同出資会社による短距離便の運航にとどまっていた。世界の長距離国際便市場で中東勢やLCCが台頭しつつあるなか、日航の新会社が加われば消費者の選択肢は一段と広がる。”
”日本の国内線におけるLCCのシェアは1割程度とされ、6割を占める東南アジアや4割の欧州と比べて低い。日本発着の国際線ではLCCは2割あるが、東アジアなど短距離路線が大半で競争が激しい。”
“一方、長距離路線を手掛けるLCCはないことから、後発の日航は市場の開拓余地があると判断、参入を決めた。政府は訪日外国人客を20年で4000万人と大きく伸ばす計画を掲げている。”

LCCは、Low Cost Carrierの略で、格安航空会社と訳されます。”Strategic Management in the Aviation Industry“に基づくと、低価格を前面に押し出し、低価格で利益を出すための戦略として大きく7つあります。

1: Short-haul routes
短距離路線に限った運航を実現することにより、一日に何往復も飛行機を飛ばし、なんらレベニューを生まない地上にいる時間を減らします。

2: Standardised fleet
そもそも、パイロットが一度に持てる操縦ライセンスは1機種に限られているため、機材を統一することにより、人繰りの効率性が増すとともに、トレーニングコストを下げることができます。CAも同じ機材であれば、トレーニングコストを同様に下げることができます。また、機材を統一することにより、整備費を抑えることができます。
欧州まで飛ぶとするなら、航続距離を踏まえると、A320やB737ではなく、A340やB777でしょうか。

3: Use of cheaper, secondary airports
空港着陸料は、空港によって異なるため、発着料の安い地方空港や第二空港を使います。
なお、着陸料は、航空機の最大離陸重量や騒音によって計算されるため、中小型機のA320やB737の着陸料は、A380やB777よりも安いことが容易に想像できます。
欧州までLCCを飛ばすとなると、重い機材の影響で着陸料が他のLCCよりも高くなります。

興味深いことに、フランクフルトの着陸料は羽田の1/7、シドニーの発着料は0円!!成田国際空港株式会社の2017年3月期の決算説明会資料p50)

4: No frills service (no meals, no in-flight entertainment, no advance seat selection, no frequent flyer points)
食事や機内エンターテイメント、事前座席予約、フリークエントフライヤーポイント、ブランケットなど、JAL/ANAなどでは当たり前のサービスを廃止(もしくは有償で提供)します。食事やブランケットを提供しなければ、ゴミが出ないので機内掃除を簡素化できますし、空港に停まっている際のターンアラウンドタイム(空港に着いて、乗客を降ろし、給油・機内清掃を終え、新しい乗客を搭乗させ、再び出発する一連の流れにかかる時間)を短縮できます。ちなみに、飛行機が地上にいる時間は、航空会社になんらレベニューをもたらしませんし、むしろ、停留料が発生するため、さっさとお客さんを乗せて飛び立ったほうが、機材の効率活用のみならずコストを抑えることができます。ちなみに停留料は飛行機の重量・時間に応じてかかります。フルフレッジの航空会社は少なくとも3時間程度、駐機するイメージですが、LCCの駐機は30分程度の印象です。
欧州に行くのに10~12時間かかりますし、時間帯によっては深夜便になりますが、食事や機内エンターテイメント、ブランケットを有料で提供するにしても、利用しないという選択がありうるのか疑問です。また、給油時間もかかるでしょうし、ターンアラウンドタイムを短縮できるのでしょうか。

5: Minimal debt servicing costs
金融コストの極小化。1セントの運賃でも利益を出すといった方針において、利払いに充てていたら、いつまで経っても黒字化しません。

6: Cautious route network expansion
機材の効率活用が肝ですので、1機を1日においてどのように飛ばせば最も効率良いか検討する必要があります。
長距離便の場合、1日を24時間とした場合、辛うじて1往復(12時間 x 2)できる程度です。距離に応じて運賃は正比例で上昇するわけではないので、遠くに飛ばせば飛ばすほど、1席当たりの売上効率は下がります。短距離で1日に何往復もすることで利益を出せますが、1日に2本しか飛べない状況で利益を出せるか疑問です。

東京-伊丹(約500km)を15,000円(片道)とすると、東京-フランクフルト(約9,300km)は279,000円=15,000円x(9,300/500)ですが、実際は150,000円程度で往復できます。

7: Ticket-less reservation system
オンライン予約システムのみとします。代理店やコンビニでの発券を廃止しますし、空港でのチェックインカウンターも固定化せず、必要なときだけ使えるようにします。もちろん、荷物を預ける際は有料。

文章をまとめていて、新たな気づきとして、NAA(成田国際空港)の決算説明資料がとても勉強になることがわかりました。
企業経営という視点ではLCC事業しかも長距離路線への参入にネガティブなのですが、利用客としてはハンガリーやチェコといった中東欧、ラスベガスに直行便が出てほしいな~と思います。

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