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【書評】ウォール街の物理学者(経済学は物理学からの派生理論)

2021/08/30
 

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40代の読書家 兼 エコノミスト。 普段、マネーに世界中をさせています。ブログでは、おカネ(投資)とホン(書評)とタビ(旅行)についてまとめていきたいと思います。「いいね」を押してくださったり、ツイートしてくださると励みになります。 よろしくお願いします。

正直言って、この書籍を手に取ってみようと思う方は、相当の金融オタクか物理学者あるいは物理学専攻の大学院生のいずれかだと思います。ウォール街の物理学者を読んで小手先の金融テクニックが向上するわけではありません。

チートもせず、小手先のテクニックに頼らずに、真に金融市場に対峙し、周りが見落とすような些細な変化を感じ取り、その感受性の矛先を予測不能なマーケットの動向・クラッシュの予測に注ぎ、かつ、高度な知恵を結集させることによって、真に富を得られる可能性があることがわかります。絶対ではありませんが、精度が上がるのだと思います。高度な数式を使いこなす物理学者だからこそ、実験慣れしている物理学者だからこそウォール街での働き口があるのかと思います。

フラクタル、ケリー基準といったワードに興味をそそられる方は読んだ方が良いと思います。本書は、多くの脚注、参考文献がついていますので、1冊上梓するにあたって、きっちりと調べ上げた背景を垣間見ることができます。また、どこぞの誰ともわからぬ著名(?)ブロガーが上梓する本よりも、裏付けがしっかりとしているので、安心して読むことができます

基礎知識としての統計

本書は、物理学の知識がなくても読み進めることができます。物理学がいかに、経済・金融の発展に貢献してきたのかという歴史を知ることができます。金融市場というとアメリカが頭に思い浮かびますが、フランスの大学に在籍していた、とあるフランス人の論文を契機に一気に研究・議論が盛んになったという点は非常に興味深い点です。

本書を通じて、統計がいかに重要であるかを実感できます。統計は、経済学だけでなく物理学にも必須なスキルですので、広い意味で捉えれば、経済学も物理学も、対象は異なるものの基礎となる統計を起点に、経済学者と物理学者の間で会話・意思疎通することが可能なのではないかと思いますが、経済学者が示す統計は浅く浅はかな統計でしかなく、物理学者が日常から使う統計の足元にも及ばないために、両者の相互交流はうまくいきません。

経済学の分野で用いる数式は物理学者からしてみれば、非常に単純な数式ですべての物事を解明しようというきらいが経済学にはあるので、物理学経済学者と物理学者の間で相互理解は深まりません。経済学を少し齧った程度の私ですが、経済学を勉強して最初の第一歩が物事を簡単に捉えすぎる点に違和感を覚えました。もちろん、いろいろな変数がある中で、一度にすべてを理解すること、どの変数がどのように影響を与えるのか捉えきれないため、モデルを簡素化することに異論はありませんが、経済学は簡素化したら簡素化したままで終わっている傾向にあると思います。なお、「モデル」という言葉は、本書によると物理学由来の言葉のようです。変数を少しずつ変えて、実験を繰り返す、丸め誤差の影響が結論に大きな影響を及ぼす物理学から生まれたと言うのも、納得です。

 

物理学者と相性が良い金融市場

ただ、金融は違います。金融はマーケットがすべて、結果がすべての世界という捉え方ができると思います。物理学(物理学で用いる統計)の知識を金融市場にレバレッジして、しかも、上手くフィットして結果を出せたからこそ、物理学者が金融市場で活躍できる事実もあります。

また、金融における予測不能と思われるデータの海も、自然界における波の動きや、潮の満ち引きの動きなど、対象は違うものの、予測不能な動きをするものという点においては共通しているため、金融市場のデータは物理学者の研究対象として非常に興味深いものと思います。そういう見方をすれば、物理学者が金融市場で結果を出せたのは、必然だったという見方もできます。

また、研究結果が自らの思う方向に進んだら、大金を稼げるのも垂涎の的です。

見方を変えれば、研究予算がつきにくいテーマに取り組んでいる物理学者の受け皿の役割を金融市場が担っているという側面もあるかと思います。

 

ケリー基準

カジノに行ったことがある方なら、ブラックジャックやルーレット、スロットマシーン、いろいろあって、華やか&楽しそうに見えますよね。どうやったら一発当てることができるだろうか、どうやったら負けずに手堅く勝てるだろうか、と一度は考えたことがあるかと思います。学問の領域にまで高めて、ルーレットの出目を論文のテーマにした人がいるほどです。

ケリー基準とは、色々な賭け事があるなかで、AとBどちらが勝つだろうか、どのくらい賭ければいいだろうか、といった疑問を数式に表したものです。いくら賭けるのかというマネーマネジメントは、直観ではなく数学です。オッズが期待よりも高いという結果に基づいてベットする自分の持ち金の比率を計算するものです。

ケリー基準とは、エッジ÷オッズという公式で表されます。

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エッジとは、自分の有利さです。言い換えると期待値、すなわち、(利益 x 勝つ確率)+(損失 x 負ける確率)

オッズとは払い戻し率です。例えば、オッズが9対1のときは、1のベットに対して、当たれば9もらえることを意味します。

なお、ケリー基準に基づく結果がゼロあるいはマイナスの場合は、そもそも、賭けないほうがよいです。というのも、算式を踏まえると、ケリー基準がゼロあるいはマイナスとは、エッジがゼロあるいはマイナス。つまり、期待値がゼロあるいはマイナスであることにほかならないからです。

 

対数周期パターン

対数周期パターンをマスターすれば、アジア通貨危機、ロシア危機といった過去の危機を回避(回避と言わなくても、損失を軽減)できたでしょうし、今後、起こりうる危機・クラッシュを相当の確度・精度で予測することができるのではないか、と思います。私が本書を通じて、さらに学びたい考え方の一つです。

ただ、対数周期パターンに関する具体的説明は本書にはありませんので、興味を持ったら、さらにもう一歩踏み出して、専門書にあたるのも良いかと思います。

 

書籍の目次

本書は以下のとおり、構成されています。

  • イントロダクション – 不可能を可能にした男
  • 第1章 – パリの孤独な天才
  • 第2章 – 鮭の泳ぎと株価のゆらぎ
  • 第3章 – 海岸線の長さはどのくらい?
  • 第4章 – ディーラーをやっつけろ!
  • 第5章 – 物理学者がウォール街にやってきた
  • 第6章 – サンタフェ街道の予想屋たち
  • 第7章 – ドラゴン・キングの足音
  • 第8章 – 新たなるマンハッタン計画
  • エピローグ – 経済の未来を救うために

楽天からご購入される方はこちらから。

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