【投資】気づいたらETFの名称変更を経てETF併合。GSイノベETF
2019/7/9、”ゴールドマン系運用会社、国内でETF事業参入、米上場の5本を投入“との見出しで、日経新聞より以下の記事が掲載されていました。(一部引用)
月内にも「データイノベーション」や「金融イノベーション」などGSAMが注目するテーマに関連する銘柄に絞り込んで投資する5本のETFの販売を始める。提携先の米スタートアップのモチーフ社がテーマごとに企業の開示資料や学術論文、特許出願資料などの文書から、自動で関連度を判断し、銘柄を選定して指数を作る。ETFはその指数に連動させる。
そして、7/31、マネックス証券から、ゴールドマンサックスがGS Motif ETFというシリーズで計5本、取引手数料が実質5か月間無料というキャンペーンが公表され、販売促進がされました。
GS Motif ETFに関する分析記事を以前まとめましたが、あまりにも興味もなく、投資対象でもなかったので、ウォッチしていませんでしたが、気がついたら、名称を変更し、さらに5本あったETFを1本に併合していました。
目次
ノウハウ搾取によるインデックス提供先変更?いえいえMotifのcloseが影響
2020年5月1日にインデックス提供者が変わるとの理由で、ETFの名称が変わる旨、発表されました。ただ、インデックス自体はノウハウがあれば構築できると思いますので、スタートアップのモチーフ・キャピタル・マネジメント・インクからノウハウを(よく言えば)学び、(悪く言えば)パクったうえで、ポイ捨てしたという見方もできます。というのも、自分たちでノウハウができたからこそ、外部を利用する必要性が薄れたと言うことができるからです。
あるいは、AUMが伸び悩む中、外部に支払うフィー(インデックスを参照・使用するには費用がかかります。インデックスは、指数提供会社の主な収益源でもあります)の削減という見方もできます。
実際は、インデックスを提供していたMotif Capital Managementが事業を閉鎖したことによるものです。(参考)
インデックス先変更から半年後にはETF併合
2020年5月にインデックス先変更を発表してから、舌の根も乾かないうちに、2020年10月に、11月6日より5本のETFを1本に併合する旨が発表されました。
ETF併合後の新しいETFの名称は、GSイノベーションETF(GINN)です。このETFはドイツのインデックスプロバイダーであるソラクティブ社が開発したインデックスを指標とします。(参考)
GS イノベーションETFとは
「データ」「金融」「ヘルスケア」「製造」「消費」をテーマに組成された以下の米国ETFがGSイノベーションETF(GINN)に併合されました。
- GS Motif データイノベーションETF (GDAT)
- GS Motif 金融イノベーションETF(GFIN)
- GS Motif ヘルスケアイノベーションETF(GDNA)
- GS Motif 製造イノベーションETF(GMAN)
- GS Motif 消費イノベーションETF(GBUY)
GINNはイノベーションという軸から、データ、金融、ヘルスケア、製造、消費を投資テーマとしており、それぞれの軸におけるサブテーマは以下のとおりです。
データイノベーションのサブテーマ
- AI(人工知能)
- IoT(Internet of Things)
- データインフラ
- ビッグデータ
- サイバーセキュリティー
金融イノベーションのサブテーマ
- フィンテック
- 資産運用改革
- ブロックチェーン
ヘルスケアイノベーションのサブテーマ
- 高精度医療
- ゲノミクス
- 長寿命化
- ロボット支援手術
- デジタルヘルスケア
製造イノベーションのサブテーマ
- ロボティクス
- 3Dプリンティング
- 未来型モビリティ
- ドローン
- クリーンエネルギー
消費イノベーションのサブテーマ
- Eコマース
- ソーシャルメディア
- モノより体験
- 教育の進化
- オンラインゲーム
- オンライン音楽/動画
- 健康関連消費
GS イノベーションETFは投資に値するか?
ゴールドマンだからという理由だけで買うのは、ストップです。流動性リスクを踏まえると、まずコアにはならず、サテライトのサテライトの、さらにそのサテライトというくらいの位置づけにした方がいいです。というのも、次のセクションで触れますが、流動性リスクが高すぎるからです。
GS Motifシリーズに投資する余裕があるなら、ブルーチップ銘柄や高配当ETFを買って、ほったらかしておいた方が100倍、有効な資金の使い方です。
ちなみに、ETFなので、ベンチマークとするインデックスが存在するのですが、そのインデックスはMotif社が開発した指数に連動するようにETFを運用するとのことです。見方を変えると、身内で決めた指数に連動させることにほかならず、いかさまをし放題な気がします。
流動性リスクに注意
5本のETFが併合されても取引量(23,000)はSPYやQQQといったメジャーなETFの取引量(76,000,000、44,000,000)と比較すると圧倒的に少ないので、はっきりいうと流動性リスクが高いです。つまり、買いたい値段で思うように買えない、売りたいときに、思うような値段で売れないリスクが極めて高いです。また、成り行き注文を入れたら、意図しない価格で約定してしまう可能性が高いです。自分の注文がマーケットを動かしてしまい、結果として、自分自身が不利益を被るリスク(インパクトコスト)の可能性も高いです。
取引ボリュームは他のETFと取扱いボリュームを見比べると一目瞭然です。それに、GSイノベーションETFが設定する5テーマのうち3テーマ「データ」「金融」「ヘルスケア」は、主要ETFでも上位を占めているので、SPYやVOOを保有していて、あえて、GSイノベーションに投資するメリットはないと思います。(経費率も高いですし)
Net Assetについても、主要ETFの単位がB(Billion)なのに対して、GS系はM(Million)です。
(スマホで見て、見切れる場合は、スマホを横にしてみてください。)
TICKER | 経費率 | 特徴 | Ave. VOLUME | Net Asset | 評点 |
SPY | 0.09% | S&P500に連動。IT、ヘルスケア、金融が3本柱 | 76,208,749 | 277.59B | A(94) |
QQQ | 0.20% | GAFAとマイクロソフトで4割超を占める | 44,215,634 | 129.99B | A(67) |
VOO | 0.03% | GAFAとマイクロソフトなど上位10社で2割超。IT、ヘルスケア、金融が上位 | 3,108,131 | 557.01B | A(94) |
GDAT | 0.50% | データイノベーション | 6,888 | 51.82M | N/A |
GFIN | 0.50% | 金融イノベーション | 8,636 | 47.66M | N/A |
GDNA | 0.50% | ヘルスケアイノベーション | 6,902 | 59.82M | N/A |
GMAN | 0.50% | 製造イノベーション | 6,388 | 48.2M | N/A |
GBUY | 0.50% | 消費イノベーション | 6,193 | 75.61M | N/A |
GINN | 0.50% | GDAT、GFIN、GDNA、GMAN、GBUYが併合されたETF | 23,752 | N/A | N/A |
乱立するETFのなかで、どさくさに紛れて情報搾取系ETFが形を変えていますが、日次のボリュームで数千万のETFがある中で、50,000にも至っていないのは・・・蓼食う虫も好き好きというところでしょうか。
参考