駐在生活:コロナ禍で住居を決める際の3つのポイント
コロナ禍においても、現地でのニーズがある限り海外駐在はなくならないでしょう。
そのようなタフな環境下で、現地の地理に不案内な駐在員が家選びをする際のポイント、コロナ禍だからこそ気にすべきポイントを挙げます。普段、気にするポイントは、家の広さ、間取り、部屋数、階数、バスタブの有無、室内洗濯機の有無あたりかと思いますが、コロナ禍だからこそ、特に気にすべきポイントは以下の3点です。当たり前すぎて言われなければ気づかない点かと思いますが、当たり前すぎるからこそ、重要です。
- 水回り
- インターネット回線(Wifiの速度)
- 隣人(上に住む住民の家族構成)
目次
水回り
私はドイツに住んでいますが、ドイツにはアルトバウ(Altbau)と呼ばれる、第二次大戦前に建てられたふる~い建物が多くあります。古い建物ほど価値があるのでしょうか。。しかし、その実際は、常に改修して、現状維持あるいは劣化スピードを緩めているのが実情で、Altbauの地下(ゴミ捨て場や共用の洗濯機があります)は、ダンジョンといっても良いくらいのダンジョン感満載で、空気はもちろん澱んでいます。
そういう有象無象の建物もある中において、家の水回り(トイレ、バスルーム、キッチン)は気にすべきポイントです。特に、建物全体の水回りが相当傷んでいても、外から見ただけではわかりませんが、匂いでわかります。下水のような匂いが水回りから立ち上ってきますので、アルトバウを選ぶ際は地上階を避けたほうが良いです。
海外駐在であっても在宅勤務が多く予定されている場合には、(Work From HomeやHome Officeなど呼び方は色々ですが)在宅勤務の時間が増えます。できれば快適に過ごしたいですし、明らかにわかる地雷は避けたほうが無難です。
インターネット回線(Wifiの速度)
実は、ドイツ。光ファイバーの普及率が5%にも満たないようで、WSJの2019年8月6日の記事「ドイツの「遅すぎる」ネット回線、企業も国民も悲鳴」からもわかるように、日本では当たり前の光ファイバーも、ドイツでは「光ファイバー、なにそれ?美味しいの?」といった水準です。
ブロードバンド回線の平均接続スピードが米国の半分程度のドイツでは、マルチプレーヤー型ビデオゲームで遊びたくても反応のない試練を味わうことになり、クラウドサービスを提供しようとするソフトウエア会社の能力も制限される。特に遠隔ホスティングサービスでは時差が大問題になるだろう。
ドイツは10年前に近隣諸国が実施した光ファイバーケーブルの敷設をほとんど行っていない。そのため、次世代通信規格「5G」によるモバイルインターネットの迅速な導入がとりわけ急務となっていると、ビジネスリーダーやエコノミスト、政治家らは主張する。
(出典:WSJ同記事)
実際、多くのネット回線はDSL接続です。2000年代前半に日本国内で聞いたことあるかのような代物です。電話回線を使ってネットを繋げている状況です。在宅勤務が前提となる状況において、Wifiの速度、安定度は超重要項目です。メールの受信、ウェブサイト閲覧、動画視聴の際に少し遅いかな?と思ったら実際は、実際の通信速度は「下り」が遅く、「上り」は超遅い状況だと思います。家族で駐在となると、家族も家の中で過ごすことが多くなると思いますし、アマプラ、ネトフリ、YouTubeの視聴時間も増えると思います。帯同家族のストレスを溜めさせないためにも、通信速度は超重要です。
速度の目安
- ウェブサイト閲覧:下り1Mbps~10Mbps
- 動画視聴:下り5Mbps~20Mbps
なお、特にWeb会議は、ネットの速度の下りだけでなく、上りも求められます。通信速度を見るときは、下りだけでなく上りの速度も見るべきです。回線が遅いと、画質も悪くなり、音も途切れがち、一旦ネットが切れたら再びWeb会議に戻るのは運任せ(ネットの再接続次第)です。
fast.comのサイトにアクセスすると自動的に測定が開始されます。表示されるのは「下り」のみですが、「詳細を表示」をクリックすると、「上り」も表示されます。ちなみに我が家の通信速度はこんな感じです。内見できるなら、その家のWifiに接続させてもらって、通信速度を確認したほうが良いです。
隣人(上に住む住民の家族構成)
在宅勤務を通じて家にいる時間が増えると、住環境を良くしたいとみんな思いますが、その住環境は自分たちでどうにもしようがないこともあります。それは隣人です。自分自身は変われるものの、他人を変えられないように、隣人も変えられません。特に上の階の住人の家族構成が事前にわかるなら、調べたほうが良いです。建物によっては、上の階の足音が下に響きます。上の階でバタバタ走り回られると、下の階に都度、響いてきます。
以下の2点の観点から事前に調べれば、目に見える地雷を踏まなくて済むと思います。
- 共用の階段部分にベビーカーが置かれているか否か
- 表札の名字はどこの国に多い名前か(自国ではないという観点から私たちも移民ですが、建物の表札からインド系か、中東系か、などある程度の推察はできると思います。)
家探し
家探しの方法として、大きく3つ挙げられます。
- 会社が提携しているリロケーション会社を使う
- 日系の不動産会社を使う
- 自分で不動産仲介業者(ネット)を使う
リロケーション会社を使えるなら使ってみるのもいいですが、リロケーション会社自身が不動産仲介しているわけではありません。ネットに出ている物件を適当にピックアップして、こういう物件があるよ、と進めてきて、内見できるなら内見の調整を大家としてくれるくらいです。ネットに掲載されている物件を決めたとしても、日本のように不動産仲介手数料を取られるわけではないので、リロケーション会社を使っても使わなくてもいいです。
日系の不動産会社を利用していないのでわかりませんが、おそらく日本人の嗜好・感覚にあった物件を日本語で紹介してくれるのではないかと思います。
私個人としては、誰にも頼らず不動産仲介業者(ネット)を直接使うのが良いと思います。リロケーション会社を介して内見したとしても、結局は他人事なので、「ステキな物件ですね。」くらいしか言ってきません。
ドイツでは、Wunderflatsというサイトを使いました。家具付き高級物件が多いのですが、利用企業にはGoogleやMicrosoftが名を連ねており、世界的有名企業の社員が駐在時に使用しているいうステータスがあるからこそ良質な物件を持つオーナーが登録する、結果としてテナント(借主)である駐在員は満足度の高い物件に出会える可能性が高まります。オーナーにとっても、「どこどこの企業の社員に貸した実績がある」と箔がつくのだと思います。
有象無象の物件がリストされているサイト(HC24、ImmobilienScout24やMWZ24など)で家具付き物件、家具なし物件の切り分けから始めて時間を浪費するよりもWunderflatsから良質な物件から選んだ方が効率的です。(他にも同じようなサイトはあるのかもしれませんが。)
なお、Wunderflatsの物件に記載されている家賃には、基本的にすべて含まれています。電気代もネットも、水道代もその他すべてです。なので、表示されている金額以上の負担はありません。(過度に使用したら別途請求する旨、契約書に盛り込まれていますが、通常の生活であれば、そこまで浪費はしないと思います。)
申込時のポイント
良さそうな物件を見つけた場合、自分たち以外にも申し込んでいる人がいると思ったほうが良いです。人気物件ほど特に。複数の希望者がいる中で選ばれるために、自分たちのことを知ってもらうチャンスは一回しかありません。それは、申込時のコメント欄です。自分たちの家族構成、職業、どういった点でその物件が気に入ったのか、といった情報は大家の関心を引くと思います。コメント欄は自由記入となっているので、入力しなくても良いのですが、見えない他の申込者と差別化するうえでも、自分をアピールすることをお勧めします。
Wunderflatsを利用するメリット
他のネット不動産仲介も同じかと思いますが、日本のように借手は仲介手数料を支払う必要はありません。Wunderflatsのウェブサイトには、大家として登録するページがあり、クリックしてみると、大家向けにWunderflatsに登録するための心得が書いてあります。(契約手続きをスムーズにするために、家賃はすべて込みの金額、大家が負担する利用手数料、などなど)大家にしてみれば、水道光熱費などを借主に負担させたいのが本音でしょうが、Wunderflatsが示す、低い空室期間、高い入居率、内見しなくても契約が決まっていく手続きの簡便さ、借主にはビジネスパーソンが多いといった点は、大家の立場からしてみると魅力的だと思います。日本の不動産仲介業者もこのようになってほしいな、と思います。
Wunderflatsへの問い合わせはメールも電話も英語対応可能ですし、契約手続きは英語対応可能で、契約書には英語が併記されています。
借主は不動産仲介手数料を負担する必要がないと書きましたが、Wundeflatsはどのようにビジネスを回しているのでしょうか?実際は、大家からランニングフィーとして家賃の約10%を取っているため、持続可能なビジネスを出来ているのではないかと思います。例えば、月2,000€の物件を12ヶ月借りるとした場合、大家は2,000€x12ヶ月=24,000€の収入から2,784€をWunderflatsに支払います。
Wunderflatsはドイツ国内で展開しているので、ドイツに赴任される方は、一度サイトを見てみるといいと思います。気になる物件に出会える可能性がかなり高いです。私たちは、リロケーション会社経由で最初物件を探していましたが、イケていなかったので、最終的に自分でWunderflats経由で見つけて契約し、住環境に満足しています。