アセットマネジメントOneから見るSMAM・大和住銀の合併
2016年10月1日付で合併して発足したアセットマネジメントOne(AM-One)の現状を基に、三井住友AM(SMAM)と大和住銀投信投資顧問(大和住銀)の合併を検討してみたいと思います。
AM-Oneは、みずほフィナンシャルグループ(みずほFG)傘下にあった、(1)みずほ投信投資顧問、(2)新光投信、(3)みずほ信託銀行の運用部門、それにみずほFGと第一生命保険の折半出資会社であった(4)DIAMアセットマネジメントの計4社の事業統合によって、2016年10月1日に発足した会社です。
AM-Oneが現在設定している投資信託の本数は、AM-Oneのファンドサーチのページによると、589本(2018年5月18日時点)です。そのうち、旧DIAMが設定したものが193本、旧みずほ投信投資顧問が設定したものが156本、旧新光投信が設定したものが190本です。
AM-Oneに引き継がれ、現在も運用されている投資信託の本数は,計539本。一方で2016年10月1日の統合・発足以降に本日までの約1年8か月の間で新規に設定されたものは50本です。(なお、2016年10月1日から2018年5月18日までの間に償還された投資信託は85本)(参考)
589本の投資信託の純資産総額を十分位で示すと以下の表のとおりです。大和住銀、SMAMの投資信託についても同様に並べてみました。(単位:億円、基準日:2018年5月18日)
(スマホ上、表が見切れる場合は、お手数をおかけしますが、スマホを横にしてみてください。)
AM-One | 大和住銀 | SMAM | |
上位10% | 256.3 | 255.4 | 230.7 |
上位20% | 96.0 | 105.2 | 75.8 |
上位30% | 53.6 | 52.0 | 37.9 |
上位40% | 30.6 | 30.1 | 24.5 |
上位50% | 21.0 | 14.3 | 16.5 |
上位60% | 12.9 | 6.7 | 11.6 |
上位70% | 6.7 | 3.8 | 7.9 |
上位80% | 3.7 | 2.3 | 5.0 |
上位90% | 1.2 | 0.8 | 1.8 |
平均値 | 145.1 | 112.4 | 97.2 |
本数 | 589本 | 200本 | 314本 |
AM-Oneについて、589本のうち中位値である上位50%に該当する投資信託の純資産総額が21億円です。中位値が21億円で、平均値が145億円であることからもわかるように、一部の異常値が平均値を上振れ(あるいは下振れ)させるため、平均値を通して検証することは不適切だと思います。(多くのサイトでは、中位値ではなく平均値を用いていることに疑問です。)以下の表これを見てわかることは、投資信託を設定・運用している589本の80%の純資産総額が100億円を下回っています。大和住銀・SMAMについても同様のことが言えそうです。
投資信託の本数だけ、決算業務、報告業務、分配金支払業務等が発生しますし、決算回数が多いほどこれら業務も増えてくるので、現状、AM-Oneは合併を通じて純資産残高を増やしただけで、いまだ統合効果は見られないように思います。
せめて、類似した投資信託の統合を通じて、バックオフィス業務を減らしてコスト削減するとともに、純資産総額を高めることで、よりリスクリターンを意識した運用ができると思うのですが、なぜ、しないのでしょうか。。第三者的に見てると、金融機関のバックオフィスほどRPAと親和性の高い業務はないと思うので、ガッツリとRPAに取り組むことで、人件費等の固定費やルーチンワークに費やす時間をガッツリと削減できるでしょうし、強いては、横並びの日本の資産運用業界から、一歩飛び出すことができると思います。
大和住銀、SMAMの統合はどこまで踏み込むのでしょうか。